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ナイトメア・サバイバル
作者： Kuruha ◆qDCEemq7BQ　　（総ページ数： 34ページ）
関連タグ： 夢　学園　殺人　
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10～ 20～ 30～

＊6＊

Episode5 『死亡 -Game oveR-』
　9月12日(水)10:15/我妻 叶葉


「おいっ、国吉！　しっかりしろ、おいっ!!」

　頭から血を流して倒れている国吉くんに秋笠くんが駆け寄る。あの時、銃弾はしっかり国吉くんの脳を貫いていた。だから、彼はゲームオーバーだというのに。

「あんなに揺さぶったって無駄なのに。ねぇ？」

　私はお腹から血を流している女の子に話しかけた。この娘もすでにゲームオーバーを迎えている。殺したのは、もちろん私。

　渡り廊下を見下ろせる教室のベランダにこの娘はいた。ずっと銃を構えて、彼のように体育館から出てくる人を待ち伏せしていたのだ。そして、運悪くも彼が最初に出てきてしまった。

　そのとき撃たれた銃声を聞いて、私は誰かがそこにいるのだと気づいた。

　まだ私に気が付いていなかった彼女に向けて、せめてものクラスメイトの敵討ち――ではまったくないけれど、背中に日本刀を突き刺してやった。

「か、は……っ!?」

　自分が殺されてようやく気づいたらしく、振り向いて驚いた表情をさらしてくる彼女に私は容赦なくとどめを刺した。

「ごめんなさいね。貴女にも叶えたいことがあったでしょうけど、私の夢の犠牲になってちょうだい」

　その10分後、彼女の死体は霧散して消えていった。もうこの世界に彼女はいない。唯一の彼女がここに居た証は、私が流させた血液だけだ。

　ということは、もう国吉くんの死体も消えたのだろう。覗いてみると、秋笠くんの驚愕した顔だけがうかがえた。



　9月12日(水)10:25/秋笠 藍


「あれっ？　国吉!?」

　いきなり国吉の身体が霧のような粒子になって、消えていった。残っているのは赤黒い液体だけだ。

『国吉史斗トイウ存在ハイナクナリマシタ。ゲームオーバーデス』

「……ゲーム、オーバー？」

『ソウ。国吉史斗ハコノ≪夢の世界≫デ死ニマシタ。ナノデ、殺シ合イトイウ≪ゲーム≫カラゲームオーバーシタノデス』

　まるでこれが本当にただのゲームであるかのように奴は言った。

『ソレデハ、ソロソロ散会シテモラエマスカ？　アト一時間誰モ殺サナイヨウデシタラ、強制退場シテイタダキマスノデ』

　ぶつっ　という音がして、再びの放送は終わった。

　しばらくの静寂のあと、みんなは騒ぎ出した。叫び、嘆き、そして殺意。死ぬとなれば話は別だと、なにやら刃物みたいなものを持っている奴もいた。

　とりあえずここはもう危険地帯だ。俺はそう思い、渡り廊下を抜けて校舎に入っていった。

　殺したいなんて意思はないけれど、死ぬのはごめんだ。せめて一時間だけでも、逃げ切ってやる。




　――終わりまでのタイムリミットは、あと一時間。

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