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すばらしきこのせかい アナザーエピソード 完結
作者: しろお  (総ページ数: 29ページ)
関連タグ: 南師 イナズマイレブン 
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10~ 20~

*23*

 私と、ひかりちゃん、佳澄さんの後を、罰の悪そうな顔をしてショウがついてくる。そして2人とはスクランブルで別れ、ショウとの捜索パートが始まった。
「よし。渋谷デパートを通ってカドイに行くから、まずはそこからだな」
「おい、ヘクトパスカル」
「なんだよ。時間ないぞ」
「……すっげー言いたくねえんだがよ……」
 ショウは帽子のつばをつまんで、視線を隠している。どこか態度が落ち着かない。
「俺、弟とくらいしかまともに話したことねえし……ずっと数学ばっかやってたからよ。その、なんだ」
 恥ずかしそうに、ショウは呟いた。「その……女と接するのが? 俺は、苦手な確率がたけぇ……」
「は?」 
 つまり、女の子が苦手と言いたいのだろうか。まさか、さっき言った冗談が本当になるなんて。
 私は笑った。転げまわるほど笑った。この暴れ獅子みたいに乱暴なやつが、あの2人の前ではやけにおとなしいと思ったらやっぱりそうだった、こいつ、「うぶ」なんだ。」
 そして思い切り頭を殴られた。容赦なく。
 私も一応女なんだけど、見てくれがネクだからしょうがない。
「笑ってんじゃねーぞ、ネク!」
 はっとした。そしてショウも気づいたのか、あっというような顔をした。
「初めて、名前で呼んでくれたな」
 ショウはしばらくぽかんとしていた。やがて赤らんで、「もういい!」と怒鳴って先に行ってしまった。
 渋谷デパートへの道に壁死神が立っていたが、いらだつ南師の格好の餌食になったのは言うまでも無い。

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