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*27*
ネクはこちらに突進し、殴りかかってきた。腕で防御した後右に避けて間合いを十分に取る。ネクに対して攻撃するのは心苦しいが、相手は本物じゃないんだ。サイキックで対抗できる。
私が得意とするのは物を操るサイキック。そこら中にある服を呼び寄せて、ネクの体ごと服で覆う。身動きを取れなくしてから、マッチほどしかだせなくても発火能力で点火する。
すごい、戦える。いや、戦いのイメージが頭にわいてくる。羽狛さんが言っていたが、戦っているときもパートナーとは繋がっていて、考えていることやイメージが伝わってきたり、サイキックの源イマジネーションを共有するらしい。だから、ショウのおかげかもしれない。
ノイズは火のだるまになりやがて消滅した。
かと思いきや、巨大なオウムに似たノイズが出現し、火の玉を吐いた。私はそれに反応できず、服の壁をつくるのが遅れてダメージを受ける。こいつがきっと本体なのだろう。
しかし、私が攻撃する前に、そいつは苦しみ始めて、やがて力尽きた。
そして元の場所に戻る。
女の格好をしたショウが言った。「たいしたことなかったな」
いや、私からしたら、けっこうキツかった。
ノイズはふたつの次元から攻撃する必要があるが、同じ存在なので体力は共通している。おそらく、ほとんどショウが鏡ノイズの体力を削ってくれたのだろう。私なんてしょせん、たいしたダメージは与えられてない。
「ああ。これでミッションは……え!?」
タイマーが消えていない。残り時間は1分を切った。
「逆後列か!? タイマーが止まってねえ……だと!?」
「ここじゃなかったのか!? くそ、新しいところを探すには時間がもう……」
30秒を切る。
「だ、だめだ……ごめんショウ……! やっぱり俺が間違ってたのかもしれない……!」
私なんてやっぱりしょせんは、ヘクトパスカルだったんだ。
ごめんショウ、私なんかのパートナーになったせいで……!!