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素直になれなくて
作者: 冠座士  (総ページ数: 15ページ)
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10~

*4*



 保健室(リク視点)

ヒカルは、実験に戻ろうとするリクを
無理やり保健室へと連れてきた。

「すみません。先生はいらっしゃいますか?」

「あっ!なに、けが?」

「火傷です」

「ごめん。これから出るとこで…」

「わかりました。では、どうすればいいですか?」

「それなら……」

ヒカルは先生から何かを聞いていて
今が戻るチャンスなんだけど
腕をしっかりとつかまれていて逃げることすらできない。

「わかりました。ありがとうございました」

「じゃ、あとお願いね〜♪」

先生は、保健室から出て行ってしまい
俺とヒカルだけになった。

「手、痛い…?」

さっきとは態度がちがう。
何か、怒っているようだ…。

「平気。だから戻ろう?」

「なんで?」

「だって、心配かけてるかも…だし。
 ……あのさヒカル、なんか怒ってる?」

「うん。イラついてる」

「何に?」

「リクを押した奴と、リク自身に」

そう言って、俺をベッドの上に押し倒した。

「えっ?!」

いきなりのことで頭がついていかない。

「ねぇ、リク。なんであんな役したの」

言葉は優しいが、怒りを隠そうとしていない。

「あれは、実験だから」

「リクの綺麗な手に、跡が残ったらどうする気?

    消毒するか」

ヒカルはリクの火傷を負った手を取り
自分の口に近づけた。
そして、液体が飛んだと思われる場所を
丁寧に舐めていった。

「ヒカル!?」

「まだ、終わらせない」

そう言った、ヒカルの目は怪しく光っていた。


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