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彼は駐輪場に急ぐため階段を一段飛ばしで降りていく。決して重い荷物を持っているわけではないが、両足にかかる振動と自身の体重を支えるための負荷はかなりのもので、運動部ではない彼にとってそれは学生とはいえ案外負担となる。
まだ2013年なこともあってこの学校で機械的なものを導入することになるのには後十年程度は有するだろうという推測はついているものの彼はつい口走り負えない。
「クソっ、エレベーターかエスカレーターがありゃあ、楽なのに」
親父っぽいことを言いながら彼は足に重荷をかけながら速いペースで一階へと向かう。
部活動のために設置された大水道と乾燥機のある二階から下駄箱のある一階の途中、何故かその全体がビショビショに濡れていた階段を踏み外しあわよくば転倒しそうになったものの、その次の一歩で一階の床に無事着地し事なきを得る。
「あっぶねー、体育のダルマに見つかったらコトだったな。部活も掃除してからいけってんだ、ったく」
階段を走ってる生徒の姿を観る先生の顔は怖い。これは世間一般の定説、常識である。
そこに私立公立の壁隔たりはない。全く。
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