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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*58*
「……ついに、覚醒したのか……」
ステージ裏でひっそりと眺めていたのは理事長の源次郎だった。
そして、狂ったような笑みを浮かべ、その場から消えた。
+++
「お、おい…。あれ、やばくないか!?」
「てゆーかあれ、会長のと似てない…!?」
「花ちゃん逃げろお!!」
時間がたつにつれ、観客席にいた生徒たちもクリスの異常に気づき始めた。
そして、クリスの赤い右腕は人間のと似ても似つかぬ巨大なものとなっり、花に襲い掛かる。
(……いくらドラゴンの私でも見切れないッ!!)
ギイイン!と、その腕の攻撃に花はチャクラムで受け止めた。
だが、クリスはその場から動いていなかった。
そのうち、花の足場が砕け始める。
そして、チャクラムごとバラバラにされ赤い腕は花に直撃する。
「あ……う……ッ!」
魚雷のようなスピードで花は衝撃により壁にまで吹き飛ばされてしまっていた。
しばらく、意識を保とうとしたが、ついに気絶してしまった。
「しょ、勝者、神宮クリス!」
「おい待てよ!!」
「やばくない!?」
「花ッ!」
審判が勝敗を言い放った瞬間、観客からまた悲愴の声が大きくなる。
そう。まだ異常なクリスの攻撃は止まろうとしなかった。
今の状況にさらに加えて、クリスは赤い腕に炎をまとい、花に襲い掛かろうとしていた。
「おい!しっかりしろよクリス!!」
「ダメよ!今の彼女の意識はない!聞こえてないのよ!」
がたっと観客席から飛び降りようとする鬼柳をまどかが必死に止める。
「どうしよう!あんなのクリスじゃないよ!!」
「……いざとなったら私たちが止めるしかないね」
うろたえる安蘭に大きな筆を装備しようとする博。
だが、その動きもすぐに止まった。
「こんなことぐらいでいちいち騒ぐな凡骨共!」
「か、海馬君!」
カツカツと海馬はクリスの近くにまで歩み寄る。
生徒たちは安堵したように海馬を見た。
「フン。まさか貴様もオレと同じだったとはな。だが、今の貴様を三神龍とは認めない。ただの獣畜生だ!オレの視界に入るな!!」
ビュッと海馬は手を思い切りクリスに突き出した。
すると、クリスの体全体に水の塊が包み込む。
「………ッ!」
ガボッとクリスは意識がないながらも苦しむ。
「安心しろ。命までは取らん」
「…………――――――――ッ!!」
すると、次の瞬間クリスに包まれていた水の膜は一瞬にして蒸発した。
「……フン。獣畜生とはいえ、腐っても三神龍だとでもいうのか」
特に動じることもなく、海馬は戦闘態勢に入ろうとした。
「――――――$”Jgsmldsvm+。王の名において強制的に力を封ず」
「……貴様は…!」
独特な低い声に海馬は思わず振り向く。
その声に反応するようにクリスの体はゆっくりと前のめりに倒れた。
そこには、普段のパンにゃではないパンにゃが立っていた。