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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*61*
「……ここはどこなのだ…」
「そんなこともわからんのか猫もどき。ここは鳳凰学園体育館ギャラリーだ」
「僕が言っていることはそういうことじゃないのだッ!」
キシャ―!と、パンにゃはあまり怖くない顔で清々しい顔でコーヒーを飲んでいる海馬をにらみつけた。
ちなみにパンにゃはその小さな体相応に合った鎖で体中をまかれていた。
「早く僕を解放するのだ!」
「貴様がオレの質問に答えたらすぐに解放してやる猫もどき。……さっきの貴様の呪文は何だ?神宮クリスの暴走を止めた呪文を…」
海馬のすごむような視線におびえつつも、パンにゃは負けじとじたばたしながら言葉で応戦した。
「?呪文?なんのことなのだ?僕はさっきまで記憶がないのだ!知らないのだ!」
「……どいつもこいつも記憶障害者か」
ピン!と、海馬は呆れたようにパンにゃにデコピンをした。
パンにゃは苦しそうに悶絶するが、鎖で拘束されているため身をよじらせることしかできなかった。
「答えられるものは答えたのだ!さあ、速く僕を解放するのだ〜ッ!」
「鎖をほどくのは面倒だ。しばらく黙っていろ」
「早くほどくのだ〜!」
パンにゃの嘆きによる叫びを無視して、海馬は優雅にまたコーヒーをすすった。
+++
「いいぞ〜!憲章!やっちまえ〜!!」
「茨くーん!頑張って〜!!」
ワーワーと、会場は大いに盛り上がっていた。
始まって2分。憲章と茨はまだ余力がある様子だった。
「もうこんなに時間が過ぎてしまったようだ!僕を楽しみにしてくれているマドモアゼルたちのために正体を現すよ!」
「はッ!やってみろ!!」
茨と憲章は鋭い爪と矛先に稲妻の様な切れ込みの入った両刃の槍で応戦する2人は戦いながらそれぞれの姿に変貌した。
茨は凛々しい吸血鬼に。
憲章はどこかの幻獣と思わせる麒麟に。
その姿が解放されたことによってまたギャラリーが大いに盛り上がった。
「じゃあ…先手必勝ってことで!!」
「ッ!」
パアアアン!!と、鋭い音を立て、茨は憲章のいた地面を粉砕した。
憲章は後ろにジャンプすることによって茨の攻撃を逃れた。
「僕は吸血鬼のほうでも腕力はないけど…。常人よりはあるよ!」
「舐めんな吸血鬼!それはオレの電撃を受けてからにしな!」
スイッチが入ったのか、憲章は素早いスピードで茨の懐に潜り込んだ。
そんな憲章に少し驚いたように茨は少し目を見開くが、その口はまだ余裕のものだった。
「へえ…。麒麟特有の電撃を自分の脳に送ることによって身体能力を一時的に上昇させたんだね。でも、僕の方がまだ上だ!!」
「がはッ!」
茨は思い切り食いちぎるように憲章の脇腹を鋭い爪でえぐった。
憲章の脇腹からは血が大量にあふれ出ており、フラり、と憲章を半歩下がった。
「……さっきの言葉、そのまま返すぜ。“オレのほうが上だ”」
「………な……ッ!」
トン、と茨のしらずのうちに、自らの胸元には憲章の武器である槍が接着していた。
「………痺れろ!!」
そう憲章が言った瞬間、あたりが見えなくなるぐらいにまで電流があたりを包み込んだ。