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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*83*
「茨たちどうしたのかな…?様子がおかしかったけど…。レリク、何かしたの?」
「……ううん。僕にはさっぱり」
屋上にたどり着き、座り込む2人。
クリスは心配そうにレリクを見上げたがレリクは少し困ったように首を振るだけだった。
「…その首飾り……」
「……あ………」
レリクの視線がクリスの胸元の首飾りへ向けられる。
ようやくクリスは自分の言いたいことに思いだし、レリクの服の裾をつかんでいた。
「レリク!……もしかして9年前に泣き虫だった私にこの首飾りをくれたのって……」
「……ッ!」
クリスの言葉にレリクの目が大きく見開かれる。
そして、何か言いたげな顔をしたがそれは屋上の扉を開ける音によって遮断された。
「クリス〜ッ!僕を置いていくなんて何事なのだ!!」
「ぱ、パンにゃ!というか、貴方がちゃんと起きなかったのが悪いんじゃない!」
あまり怖くない顔で説教をするパンにゃにクリスは指で突っついた。
そして、クリスにしか見えないパンにゃのことに気付き、慌ててクリスはレリクに取り繕うように手を振った。
「あ、あああああッ!なんか私幻想が見えちゃってるみたい!ごめんね、レリク!そういえば、レリクの正体ってもしかして…」
「………見つけた」
「え……?」
レリクはさっきまでの温和な笑みとは一変、邪悪な笑みを浮かべて、クリスにしかみえないはずのパンにゃを見据えていた。
「な、何なのだ!?」
「君には少し眠ってもらうよ…。エジプト王朝13王、アギトの魂…」
「レリクッ!?」
クリスの制止を無視して、レリクは目にも見えないスピードでパンにゃに思いきり黄金の杖を突き刺した。
「にゃ…ッ!」
「パンにゃ!……うっ!」
倒れたパンにゃに駆け寄ろうとしたクリスにも、首に鋭い感触が走り、意識が奪われる。
「ど…して……」
「………ごめんね、クリス」
レリクは倒れたクリスを悲しそうに見つめた。
+++
「海馬。レリクを取り逃がした。…あれ、花は?」
「理事長室だ」
ツカツカと廊下を歩く海馬に修羅が駆け寄った。
海馬の言葉に修羅は目を見開く。
「……今すぐ花のところに行くんだ!」
「どういうことだ」
「今回の黒幕はほぼ理事長で間違いない!そんなところに花を連れていくだなんて…ッ!」