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鳳凰学園協奏曲-カルテット-【完結!】
作者: 鳩麦白夜  (総ページ数: 101ページ)
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「……随分と早く帰ってきたね、レリク」
「任務は果たしたんだ。文句は言わせないよ」
「ふふふ……。豪華な土産を持ってきてくれたんだ。文句どころか褒美をあげたいぐらいだよ」


 ガチャ、とレリクは理事長室を開けて、大きなソファーに気絶しているクリスをゆっくり置いた。
 そして、パンにゃを鳥籠のようなものへ入れるレリクに源次郎は妖しい笑みを浮かべていた。


「……その娘がとても大事なようだね」
「……そんなことないさ。それにあなたが口出しするようなことじゃない。……その人は?」


 源次郎の言葉に少し眉をひそめたレリクだったが、その視線は源次郎の座っている机の下の少女へ向けられた。


「ああ。この子は生徒会役員の一二三花さんだよ。私を探っているようだったから少し注意代わりに幻術をかけさせてもらってね」
「……へえ」


 苦しそうに身をよじらせる花をレリクは少し憐みの目で見つめた。


「準備は整ったよ、レリク」
「……?何を言っているの?神はあと海馬ともう1人いないし、千年秘宝だって全部ないじゃないか」


 源次郎の言葉にレリクは顔を歪ませた。
 だが、次の瞬間源次郎は狂ったように笑っていた。


「何をとぼけているんだいレリク!千年秘宝は私がすでに5つ持っているし、神宮クリスと八神海馬がそれぞれ1つ持っている!……それに、君のその杖も千年秘宝だ。私の目はごまかせない」
「たとえそうだったとしても神があと1人いないけどね」


 自慢げに言う源次郎をあざ笑うようにレリクは微笑した。
 だが、源次郎はその言葉を待っていたかのように思い切りイスから立ち上がった。


「君は面白いとぼけ方をする!!神があと1人いない!?笑わせないでくれ!!神は君自身じゃないか!……君たちがいれば神宮クリスという器を消去し、5000年前のエジプト皇太后リリアを復活させられる!!」
「きっさまああああああああああああッ!!!」


 その言葉が言い終わる前にレリクは源次郎に襲い掛かっていた。
 その腕は黄金の甲冑がついた腕へ変貌し、雷をまとって源次郎を貫いた。


「……本性を出したんだね、レリク」
「本性を出したのは貴様だ。……やはりクリスを……ッ!」


 源次郎は貫かれながらも何事もなかったかのように話し続けていた。


「あの器を愛してどうする?所詮、リリアの器でしかない」
「黙れ!貴様こそ、亡霊を愛してどうする気だ」
「亡霊………?」


 レリクの言葉に先程の笑みを消し、源次郎はゆっくりと後ろに下がった。
 その目は怒りをにじませていた。


「……リリアは生きている!!私に歯向かったこと、後悔させてやる!!翼神龍ヴァ―!!」


 ズズズ…。と君の悪い闇に包まれながら源次郎の姿が変化していった。

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