完結小説図書館
作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*89*
「ああ…そうだ。写し身となる前…ルーベンスであった私はリリアと言う女を愛したばかりにかつて、昔のエジプト王朝を波乱に貶めた」
「…そんなことのために…っ!」
うっとりするように話始めた源次郎をクリスは唇を噛みながら睨み付けた。
「だがリリアは王であるアギトの妃…。底辺層のルーベンスが会えるものじゃなかった」
「…だから5000前のエジプトを襲ったのか」
海馬は花を介抱しながら呟く。
源次郎は邪悪な笑みを浮かべて頷いた。
「そうだ。リリアを手に入れるためにはそれしかなかった」
「…けど、ルーベンスの反乱は王アギトとその七神官によって鎮められたはずだ」
レリクは回復しつつ、言葉を紡いだ。
「そのとおり。しかも、二度とこんなことが起きないように英雄アイシスは王アギトの使役していた神を3つに分断した。」
「…けど、あんたのしたことは無駄だったんだ。結局リリア皇太后は民を守るために死に、アギトも時空間に飛ばされ、アイシスも消えた」
寂しそうに語る源次郎を修羅は冷たい目でみながら淡々と語った。
「…ああ…。確かにルーベンスがやったことは無駄だった。だが!!私はそんなことをさせない!」
ギギ…、と源次郎は夥しい赤黒い爪をクリスにつきだした。
「今度こそ彼女と一生を遂げる!昔と決別させるためにも!!」
「フン!貴様にはまず会いたくない奴に会わせてやる!…レリク!協力しろ!」
「…なるほど、わかった!」
「え、え、ええええええ!?海馬!?レリク!?」
海馬とレリクはクリスの抱いているパンにゃの元に駆け寄った。
そして、レリクはパンにゃに黄金の杖を当て、海馬は洋刀でパンにゃに切りつけた。
「…それは…!千年杖に千年槍…っ!」
源次郎は目を見開いた。
すると、次の瞬間、パンにゃの体が輝き出した。