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鳳凰学園協奏曲-カルテット-【完結!】
作者: 鳩麦白夜  (総ページ数: 101ページ)
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*93*

「はあ…、はあ…。ここの学園の人間ってこんなにいたっけ?」
「今年の一年生が少なすぎるだけさ。2,3年合わせれば400人はいるよ」
「けど、襲われてない人まで何で…!?」


 ゾンビの様に襲ってくる生徒たちを気絶程度に薙ぎ払いながら、お互いの状況を理解するため、博と氷栗無と安蘭は背中合わせに立ち会った。


―――……トマレ……!――――
「!?……アアアア……」


 次の瞬間、糸が切れたように生徒たちはバタバタと倒れて行った。
 それは、レリクが杖で操っていたのを解いたものだった。


「みんな倒れてく…!」
「でもなんで…!?」
「それはレリク君を通じての理事長の洗脳が解けたんだよ」
「……茨君、憲章君」


 戸惑う安蘭と博の問いに答えたのは、まだ怪我が回復しきっていない憲章とそれを支える茨だった。


「……っは。筧と鬼角の行方が気になってよ。た、たまたまきただけだからな!」
「はいはい、憲章君。そんな元気があるなら歩いてほしいな」


 相変わらずツンデレぶりを発揮する憲章を茨は軽く小突いた。
 だが、氷栗無は厳しい顔をして一歩下がる。


「…いや、でもまだ洗脳を解かれていない人もいるようだよ」
「…!鬼柳!まどか!」


 前方からザッザと、虚ろな目で歩いてきたのは鬼柳とまどか。
 2人は鬼の姿に変貌していた。


「どうしよう!あの2人に攻撃するだなんて」
「だけど苦しいのは鬼柳君とまどかちゃんだよ!しっかりして」


 焦る安蘭を博はいさめる。
 氷栗無は茨に憲章を守るように言い、また体制を整えた。
 そして3人は覚悟を決め、2人に飛び掛かろうとしたとき、あっけらかんとした声が響く。


「こーら!生徒たちだけで女大事片付けようとしないでくださいよお!」
「な、菜々緒先生!?」


 突然の菜々緒の登場に茨は思わず目を見開く。
 だが、来たのは菜々緒だけではなかった。


「そうだぞ!大人の事情なのだから、君たちは関わらなくても良かったのに…」
「ふぉっふぉっふぉ。空悟先生。もう過ぎたこと。それに、生徒たちは儂らで守れば問題はなかろうよ」
「空悟先生に…元徳先生も!?」


 少し困ったように笑う空悟と元徳の登場にみんなはますます呆気にとられる。


「……それもそうだな!菜々緒!元徳!鬼柳とまどかを洗脳から解くんだ!」
「あたりまえですよぉー!それに、海馬君とクリスちゃんも巻き込まれてるッぽいから早く助けないとね―」
「無論、儂は全生徒を守るためだけに存在しておるよ」


 空悟の掛け声とともに3人は走り出す。
 そして、一瞬のうちに空悟はスサノオ、菜々緒は八咫烏、元徳はネプチューンに変化した。

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