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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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――――……そして、8年のときが経った―――――……。
みんなは、それぞれの道を歩み、かなえたい夢の先へと向かっていた……。
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「みんなすごいよね〜!鬼柳は鬼の当主兼、小学校の先生になったらしいし、海馬は世界トップの社長になったんだよ!」
「そうだね。それに、安蘭は運命の人と出会ってそのまま花嫁さんらしいしね。まどかも華道教室の先生になったらしいからね。空悟先生、元徳先生、菜々緒先生もそのまま教師として活躍しているらしいし」
青い空がよく見える、白い家でクリスとレリクは微笑みあいながらそう言った。
「憲章は科学者になったし、博はプロの芸術家、氷栗無もプロの氷彫刻家になっちゃうし!」
「花はばりばりのキャリアウーマンだし、茨は俳優デビューしたんだよね。修羅は雑誌の編集者になったらしいんだ。一昨日、ハガキが来たよ」
「わあ…!みんな元気そうでよかった!」
レリクはクリスにハガキを差し出すと、彼女は嬉しそうに読み始めた。
その顔は幸せ一色だった。
「…それにしても、いろいろあったよね…」
「ああ。けど、それもいい思い出だ」
「うん……」
しみじみとつぶやくと、クリスはレリクの肩に寄りかかった。
そんな雰囲気を打ち破るようにクリスは思い切り伸びをした。
「あーあ!みんなうらやましいなぁ!私、前までは看護師さんだったのに、エジプト来たからいまだ無職!」
「そう言わずに。僕の仕事場がここだったから…。ごめんね?」
「あははっ、冗談!気にしてないよ!」
クリスはいたずらっ子のように笑うと、ソファーから立ち上がった。
「もう…。悪い冗談だなぁ、…ハクア・ゴットアンダーソンさん」
「前の仕返しッ!」
クリスが微笑むと、返事をするように薬指の銀色の指輪が煌いた。
レリクは困ったように笑うと、ソファーから立ち上がり、スッとクリスの下腹部に触れた。
「……三か月、なんだよね」
「……うん。私、お母さんらしくできるかな?」
「大丈夫さ。クリスならきっと可愛いお母さんになるよ」
レリクがそう言うと、クリスはほんのり顔を赤らめた。
「……お母さん、あなたのこと待ってるからね」
クリスはそう微笑むと、優しくお腹に触れた。