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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*97*
そして、あれから一週間がたった。
洗脳されていたみんなもあれから何事もなく学園性格を送っている。
そして今も―――――……。
+++
「ねえ、レリク。よく私が9年前の子だってわかったね?顔とか変わってたかもなのに……」
「そんなことないさ!……僕は一目見たときから君だってわかってた」
屋上にて、クリスとレリクは雑談をしながらベンチに座っていた。
「そう、そうなんだ…。なんか、照れるな……。昔のことなのにどうして私に気にかけてくれるのかなって不思議だよ」
「……僕は君に救われたんだよ」
「?私!?で、でも私、何もしてないし…!むしろ、私がレリクに救われたんだよ!?あの時首飾りをくれたから…!」
思いがけないレリクの言葉にあわててクリスは手を振った。
そんな彼女にレリクはくすくすと笑うと、いきなりYシャツを脱いで、自分の背中を見せた。
「え!?急に何を…!?……っ!?」
「ひどいものだろう。これは僕が君に出会う1日前…。いや、一週間ずっと継続させられたものだ」
レリクの背中には昔のものだとはいえ、痛々しい歴史をつかさどるような焼印が施されてあった。
「……ひどい……っ!」
「これをつけられたときは地獄だった。そして、これが終了したときにふらふらと野原に行ったんだ。そこで、君に出会った」
レリクはYシャツを着なおすとフェンスに寄りかかって空を見上げた。
「……最初はほんの同情のつもりだったんだろうね。気まぐれで君に近寄ったのさ。そして、どうでもいい気持ちで首飾りをあげたら君が本当にうれしそうに笑うからつい感情的になってしまってね……」
「そうなんだ……」
はは、とレリクは苦笑いした。
クリスはどことなく恥ずかしい気持ちと、情けない気持ちでいっぱいだった。
「その時からかな。僕はずっと君のことが好きだったんだと思う。…いや、好きだった」
「え…!?す、好きって・・・・・・!?」
レリクのあっさりした物言いにクリスは顔を真っ赤にした。
「あれ?僕、前にも言わなかったかな?ずっと、いや、今も大好きだよ、クリス」
「え、え、え!?」
ギュッと手を握るレリクにますますクリスは混乱していく。
「ははは。……返事はいつでもいいから。あ、できれば卒業式のときがいいかも。エジプトに連れて行けるから」
「!!!!!!!」
もう我慢できなくなったクリスはもうダッシュで屋上を飛び出した。
「レリクのバカーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「少しいじめすぎちゃったかな?」
いたずらっ子のように舌を出すレリクにそれを見守る代表者たちの生暖かい目があった。