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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*96*
「……理事長先生は幸せになれたのかな…?」
「さあ、だれにも分からない。けど、最後に笑ってたってことは、きっと幸せを見つけられたと思う。…僕がクリスに出会えた時みたいに…」
「レリク……」
レリクはうれしそうに微笑みながらしゃがみこんでいるクリスをやさしく立ち上がらせた。
すると。
「!?なんだ、これは…!?」
「え、え!?クリスとレリク君の千年秘宝もだよ!?」
源次郎の残した5つの千年秘宝と、海馬の千年槍、レリクの千年杖、そして、クリスの千年首飾りが光を放ち、宙へ浮かんで行った。
そんな様子を海馬と安蘭は驚いたように見上げた。
「それだけじゃないね。……あれは……」
「どどどどうなってんの!?光の扉!?」
氷栗無と博はその現象に思わず叫んだ。
そう。円を描くように浮かび上がった千年秘宝らは光の扉を作っていた。
「……そろそろお別れの時間だ。クリス。みんな」
「!?どういうことだよ!?じゃあ、パンにゃはどうなんだよ!?」
「それに千年秘宝はどうなるんだ!?」
アギトの言葉に思わず鬼柳と空悟は目を見開いた。
そんな2人にアギトはさみしそうに首を振った。
「……パンにゃは私の仮の人格にしか過ぎなかった…。そしてこの体も。役目を終えた今、ここにはもういられない。リリアが…。みんながいる冥界に還るのさ。……千年秘宝とともに」
「そんな…パンにゃ…アギトさん…!」
「やめるんだ、マドモアゼル。彼らには帰るべき場所があるんだ」
「ここは黙って見送るのが筋ってもんだろ」
引き留めようとしたクリスを茨と憲章は悔しそうに止める。
「……気を付けて帰って下され………」
「…研究素材になりに、いつでもまたいらしてくださいね」
大人らしく、元徳と菜々緒はさみしそうに微笑んだ。
「冥界でも、お幸せに」
「今度は冥界のみんなと一緒に!」
「またエジプトの話聞きたいな」
まどか、花、修羅も続けていった。
「……たまになら,来い!この俺が直々に歓迎してやる!」
「……僕も、待ってるね」
海馬とレリクは一歩下がりながらつぶやいた。
「……パンにゃ!アギトさん!………さようなら!!」
「……ああ。少しの間だったけど楽しかったぜ!」
アギトは力強く微笑んでいうと、光の扉の中へ入っていった。
―――――……お待ちしておりました。マスター。―――――
―――――今回は随分と長旅でしたね…。―――――
扉で待っていたのは、かつての信頼すべき部下。
そして……――――……。
「アギト……。行きましょう。ほかのみんなも待っていますよ…」
「おっせーんだよッ!アホアギト!」
美しい笑みを浮かべる愛すべき妻と、英雄と言われた少女だった―――――……。