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*13*
肉を食べ終わり(カイザーによって守護獣のえさに回された)アイシス達はいまだ大広間をうごかずにその場にいた。
理由は七神官らしい仕事、つまり、エジプト国内の事件やこれから起こりそうな混乱についての会議であった。
まだアイシスとカイザーしかいないこの大広間にカツカツと足音が聞こえてくる。
その人物は2人と同じ七神官の1人であり…。
「はっはっは!!今日も元気そうだねアイシス!…フム、この千年眼で見れば君は闘技場で倒した猛牛をカイザー神官に奪われてお腹が満たされないようだね!」
「変人〜!そうなんだよ〜!カイザーがまだ20キロ分の肉を!」
「……また面倒なのが……」
その人物にアイシスは人懐っこく愚痴をこぼす。カイザーは頭を抱え目をつむった。
金色のチュニックに黄土色の瞳を持つ美男子はホルス。アギトから授かりし千年秘宝のうち1つ相手の考えることなどがわかる「千年眼」を左目に装着している。悪い人間ではないのだが、これはこれで話が通じないのだ。
アイシスも変人と呼ぶほどに個性的な人間であった。
「はっはっは!呼ばれたから来ただけだよ!もちろんやることはわかっている!仕事だろう!?」
「……本当に分かっているのでしょうかね……」
「大丈夫だって!変人は多分理解しているかもしれない!」
「推測ですか」
いつの間にか南国果物を頬張るアイシスにカイザーはため息をついた。
カタン、と優雅にホルスは椅子に座る。
「ところでまだほかの七神官は来ていないようだね!」
「とりあえず連絡が来たのは、ウェザーズとその弟子のイリアですね。今日は彼らが我が王の先代様のピラミッド、つまり墓の見回り当番ですから」
「あそこ陰気くさくて行きたくないんだよなあ〜!」
「そんな時は歌うといいんだよアイシス!」
空気を壊すようなホルスとアイシスにまたまたカイザーはため息をついた。
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「……お師匠様。今のところは異常なしですね」
「ああ。このまま何もなければいいな……」
ぱっつんの長髪色は薄いピンクに右の耳に大きな三角のピアスをつけている幼い少女、イリア・ユレグアに、魔法装束を着た凛々しい男、ウェザーズは薄暗いピラミッドの中の見回りしていた。
ウェザーズは七神官の1人で千年秘宝の1つ「千年指輪」を所持している。イリアはそんな最強の魔術師と言われる彼の一番弟子であった。
「……そろそろ最深部ですね。我が王の父君が眠られておられる場所」
「そうだな。……あれは…!」
パッとウェザーズは手元のランプを墓の近くに置く。
そんな彼の様子を見て思わずイリアは首をかしげた。
「どうしましたか?お師匠様」
「……先代国王が…宝が…ない…!!」
「…え!?」
ウェザーズの言うとおり、イリアも駆け寄って墓の中を見る。
だが、彼の言うとおり墓の中には空箱の様に何もなかった。