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*18*
「あー…やっと終わった…」
「ふぉ、ふぃふふぁーふぉひゃん!ふぉっふぁあ、ふぉうふんふぇんふぉふぁりふぁもんふぁ!おふふぁれ〜!(訳:お、ギルバードじゃん!そっかあ、もう訓練終わりだもんな!お疲れ〜!)」
「ファーファーファーファーうるさいですよ」
疲れた様子で大広間に入ってきた大柄な体格に、死んでる目をしている男、ギルバートにアイシスは果物を頬張りながら声をかけた。
ギルバートは数少ない王宮直属の兵士でもあった。記憶がないらしいのだが、彼は全く気にしておらず、毎日の訓練を受ける日々に明け暮れていた。
その様子が非常に無愉快だったのか、カイザーは無表情でアイシスに言い放った。
そんな彼に気にせずにアイシスは「イライラはよくないぞ!カル○ウムがたりない」とほざいたので、カイザーは黙らせるために彼女にチョップを入れた。
「はあー!今日も鍛錬指導終了!アイシスまた食べてたんだね〜!」
「ああ!今日は猛牛50キロぐらいと、今は南国果物!」
ギルバードに続けて入ってきたのは、白髪の長髪の少女、ユール・アヴィリオンだった。彼女も、アイシスやカイザーと同じく七神官の1人であり、アギトから授かった過去や未来が見える千年時計も持ち主だった。
過去に賊に捕らえられてしまった過去があるが、アイシスたちとふれあってからは元気に日々を過ごし、仕事を全うしている。
「ああ!道理で遅くなったんだね、ユール!てっきりピンクの象に追いかけられているかと思ったよ!」
「何その象!?呆れを通り越してホルンの想像力に感心するよ!?」
……ホルンに対するツッコミが的確且、鋭いという理由で七神官に彼女はなったのではない。…たぶん。
否定の言葉を言ったユールにガタン、とホルンは椅子から思い切り立ち上がって言った。…しかも真顔で。
「じゃあ、何に追われていたんだというのかい!?空飛ぶブタか!?」
「何ーーーーーーーーーー!!変態、ユール、その豚どこで見たああああああ!?」
「黙りなさいそこのバカ族」
ホルンに加えて「豚」という食べ物に食いついたアイシスたちをカイザーは冷たい目で一喝した。
怒りを通り越しているのだろう。そのことにすでに気が付いているギルバートとユールかカイザーをなだめながら言った。
「…相変わらずだな。七神官も」
「まあまあ、で、七神官の今日の会議って何!?」
「そういえば伝言があったな。七神官の1人のカヤルは王と御妃様の警護に当たるといって席を外すそうだ」
「そう…ですか」
ユールの本題に戻そうとするけなげな心と、ギルバートの伝言の言葉を聞き入れたカイザーはやっと落ち着いたのか目を閉じた。
雰囲気も落ち着いているようだった。
「…後はユウラですね」
その瞬間、バタンと扉が開いた。