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*40*
せらめの5年生の時の話です。
「うーわっ!身長低っ!」
「しかたないですよ・・・すいません。」
私、せらめは、すいませんと言ってしまうのが癖。5−B。
身長のこととおとなしいことでよくからかわれている。
「でてけでてけ!」
「は、はい・・・」
教室を出る。すると1人の男の子が立っていた。
「・・・こっちこい」
どんどん進んでいく男の子を追いかける。
「お前、柄澤せらめ?」
「そうですけど・・・」
「俺は、草凪涼太(くさなぎりょうた)。5−C。
お前、いつもつらそうな顔してるから。
手伝いに来た。とっておきの場所に案内してやるよ。
つらさなんて吹き飛ぶぜ。」
草凪涼太って。ジャニーズだっけ・・・。
「ごめんなさい。目立ちたくないから行けない・・・
だってあなた有名でしょ?」
「有名だからってなんだよ!行くぞ。」
なんで私なんかを誘うんだろ。もっとかわいい子が近くにいるのに。
涼太に引きずられついたところは図書室。
涼太は鍵を取り出し、ある扉を開けた。
「ここは・・・。古本の間。有名な人の書いた原書が入っている。」
へぇ。そんなところがあったんだ。
「この鍵。もらってくれ。」
「なんで私に・・・」
「本。好きだろ?」
ニタッと笑う涼太の笑顔がまぶしかった。
しかし。明後日。涼太は転校した。
私は、なぜか泣いていた。
なんでもっと話さなかったのか。なんで。なんで!
自分を悔やんだ。
こういうのが恋心なのか。
私には、まだわからなかった。
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