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ギャリーと出会ってから、ここから出る冒険は百八十度変わった。物が道を塞いでいる時はギャリーがどかしてくれたし、何より話し相手ができた事が嬉しかった。
「さぁ、次の部屋よ。頑張りましょう!」
ギャリーと話しながら次に進んだ場所は、様々な色の服を着た女の絵がたくさんある部屋だった。正直な所、このような絵にはトラウマがあるので出来ることなら入りたくなかったが、それはギャリーも同じようで、
「うぅ……。あんまり入りたくないけど、入らないと始まらないし……手でも繋いで行きましょうか?」
ギャリーが左手を差し出しながら言った。
「うん!」
私はかなり怖かったので、本当にありがたかった。
「うーん……。めぼしい物は無いわねぇ……。そっちはどう?」
女の絵がたくさんある部屋を二人で探索していると、鍵が開いているドアを見つけた。
「ギャリー、ここのドア開いているよ!」
「あら、本当ね! 危険かも知れないから、気を引き締めて行きましょ。アタシから入るわね」
そう言ってギャリーはドアを開けた。特に襲ってくる物が無いので、ひとまずは安全のようだ。
その部屋にあったのは、本棚と二人掛けのソファー、そして一枚の大きな絵。絵に描かれていたのは、笑顔で立っている男女二人組だった。
私はその絵を見た瞬間、頭が真っ白になってしまった。
(嘘……。何で……。だって、この絵の人は……!)
絵の前で固まったまま同じ事をぐるぐると考えていると、本棚を見ていたギャリーが近づいてきた。
「ここにも出るための情報とかは無さそうね……ってイヴ、どうしたの?絵を見たまま固まっちゃって……」
「……お父さん、お母さん……」
私は蚊の鳴く様な小さな声で言った。
「え!? この絵に描かれている人って、もしかしてイヴのお父さんとお母さんなの!?」
「うん……。ねぇ、ギャリー……。お父さんとお母さん、大丈夫だよね? 無事だよね?」
「……何言っているの! 大丈夫に決まっているじゃない! だから、早くここから出る手段を見つけてお父さん達に会いに行きましょう!」
『大丈夫に決まっている』
その言葉に救われた気がした。
「……うん! ありがとう、ギャリー!」
「どういたしまして! さて、ここには良い物が無かったから出ましょうか」
そう言ってギャリーはドアノブを回した――が、
「え……開かない! 嘘!? 鍵は開けっ放しのはずなのに!」
ガチャガチャと何回もドアノブを回すが、開く気配が無い。代わりに聞こえてきたのは――
ドンッ……ドンッ。
と、何かがドアを叩く音。
「ギャ、ギャリー……」
私はギャリーのコートを掴んで顔を見上げる。ギャリーは私の手を握りながら言った。
「二人で居れば平気よ! きっと……」
ギャリーがそう言った瞬間――
ドーン!!
と、コンクリートの様な素材で作られた壁を破って、女の絵が部屋に入ってきた。
「きゃっ……!」
「だ、大丈夫よ!アイツ足遅いから、こっちに近寄ってきた隙にアイツが作った穴から出ましょ!」
ギャリーと手を繋ぎながら女の絵の隙を見て外へ出ると、そこに広がっていたのは大量の女の絵が一斉に襲ってくる、地獄の様な風景だった。
「イヴ! あの開いているドアの所まで全力で走るわよ!」
ギャリーは開いているドアを指さしながら叫んだ。
「う、うん!」
私達は女の絵を避けながらドアまで全力疾走した。
命からがらドアの向こうに入って、一息つく。
「はぁ……はぁ……こ、ここまで来れば大丈夫でしょ。ドアもきちんと閉めたし……ざまぁみなさい!」
ギャリーも私も怪我は一つも無かったが、私は――
(どうして……どうして私達だけこんな目に会わなくちゃいけないの? 何で……何で!)
そんな事を考えていたら、フッと目の前が真っ暗になった。
暗くなる直前、ギャリーの驚く顔と私を必死に呼ぶ声が聞こえた気がした。
・・・・・・・・・・・
朔良さん
ありがとうございます!これからも頑張ります!!