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アタシの前に現れたのはあの青い人形だった。その人形の横には――
『こんにちはギャリー。ねぇ、いっしょにつれてって』
「…………」
青い人形を置き去りにして先へ進む。が、少し進むと、
『ねぇ、どうしてむしするの?』
「…………」
『えいえんにここにいろ』
そして、最後のドアの前の人形は一言、
『つ れ て い け』
「もう、なんなのよ!! いい加減にしなさい!!」
思いきり人形を蹴りたい衝動にかられたが、
「……こんな奴らには、関わらないのが一番だわ」
壁の方へよけて、アタシはドアへ向かった。
「さてと、イヴ! メアリー! いたら返事して!!」
数秒待ってみるが返事はなし。
「やっぱりいないか……。一人でどうにかしなきゃ」
そう自分に言い聞かせ、このフロアの部屋を片っ端から調べることにした。
《七つの色彩 絵の具玉を集めよ さすれば部屋は色づき そなたの架け橋となるだろう》
このフロアの一番奥の部屋。その部屋は七本の台座が立っているだけの部屋だった。
「えっと、つまり……七つの絵の具玉を集めれば先に進めるってこと? そもそも絵の具玉って何かしら? ……とにかく早く合流しなきゃ」
壁に張ってあった張り紙を見ながらアタシはつぶやいた。……最近、独り言が増えた気がする。独り言が増えるとボケてくると言う噂を聞いた事があるが、きっと大丈夫だ。何より、こんな所で一人だったら、誰だって独り言を言うだろう。それに自分はまだ二十代だ。ボケてたまるか。
「よし! これで五つ目!!」
そんな事を考えながらも、絵の具玉集めは順調に進み、残りの絵の具玉は二つになった。
「それにしても、この美術館って、本たくさんあるわね。ゲルテナの趣味なのかしら?」
五つ目の絵の具玉を見つけた場所は本棚がたくさんある部屋だった。
どんな本があるか興味が湧き、近くの本――《ゲルテナ作品集 下》――に手を伸ばす。《ゲルテナ作品集 上》は探してもなかった。
「ふーん。ゲルテナってこんな絵も描いていたのね……」
パラパラとページをめくる手が、とある絵で止まった。
「え……? これって……? 嘘……!?」
あはは!! 知っちゃった!! 知っちゃった!! メアリーのひ・み・つ♪ あははははは!!
どこからか部屋に不気味な笑い声が響いた。
「大変だわ……このままじゃイヴが危ない!! 急がなきゃ!!」
アタシはまだ探していない部屋に向かって走り出した。