完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*26*
*14
「急がなきゃ、イヴが……!」
まだ調べていない部屋。走ってきたアタシは、ドアの前で足を止めて息を整えた。
「ん?」
ドアの横に何かいる。それは一度見たら忘れられない、あの青い人形だった。
『さっきいいものひろったの わたしのたからものにするの』
「いいもの? そういえばこの人形、おなかが少しふくらんでいるわね……」
アタシは少し悩んだ後、人形の服を破いて中を見ることにした。……あまり気は進まないが……
「よいしょっと」
中に入っていたものを取り出す。それは残り二つの絵の具玉のうちの一つだった。
「やったわ!! これで六つ目!」
絵の具玉は触れると消える仕組みになっているので、今回もすぐに消えてしまった。
キャハハハハハ!!
と、床に置いた人形がいきなり笑いだして、調べていない部屋へ走っていった。
「あの人形動けたの!? ……まぁ、マネキンが動くんだから人形が動かないわけが無いか……」
この美術館に入って様々な物に出会ったせいか、人形が動く程度で驚かなくなった。……慣れとは本当に恐ろしいものだ。
「あの人形が入った部屋になんて入りたくないけど、調べていないのはここの部屋だけだし……」
意を決してドアノブを握る。――異様に冷たい。
嫌な予感が頭をよぎった。
「……ダメダメ!! 立ち止まっちゃ! 早くしなきゃ!」
思いきってドアを開ける。
開けた瞬間、気分が悪くなった。
「うっ……。何よ、これ……」
その部屋は青い人形がたくさん置いてあり、その人形の中心に絵の具玉があった。
「あった!! よかった……」
また絵の具玉は触れると消えた。そしてすぐさまドアを開け――られなかった。
「う、嘘!? 何で!?」
ドアには、さっきまでなかった文字が書かれていた。
『たからさがしをしよう だれが かぎをもっているかな? いそがないと――』
「……っ!! 早く鍵を見つけなきゃ!!」
近くにあった人形の服を破く。中には石が入っていた。
「これじゃない!! 次は!?」
ゴーン……ゴーン……
タイムリミットを知らせるかのように、どこからか鐘の音が響いた。
「違う! ……これもダメ!! 次!」
ゴーン……ゴーン……
音がどんどん低くなっていく。
「ここにも無い!! 後、調べていないのは……!」
ゴーン……
最後の鐘が鳴り響いた時、アタシの視界は真っ暗になった。
『いらっしゃい ギャリー ようこそ わたしたちのおうちへ♪』
真っ暗になる直前、そんな声が聞こえた気がした。