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目を覚ますとそこは、薄暗い空間だった。
体を起こそうとすると、少し痛んだが、どうやら無事らしい。
周りを見回すと、所々子供の落書きの用な絵とたくさんのおもちゃが見えた。
けど、大切な物が見当たらない。
この不思議な世界に入ってからずっと持ち歩いていた、私の赤い薔薇がなかった。それに、一緒に落ちたはずのギャリーも居なかった。
「ギャリー!!」
……返事が無い。私はおもちゃに足を引っかけないように注意しながら、辺りを歩くことにした。
歩き始めてすぐに、私はギャリーを見つけた。落ちたショックで気絶しているらしい。
「ギャリー!!」
慌てて近づき肩を揺らす。
「うっ…………イヴ?」
「ギャリー大丈夫?」
「えぇ、少し体が痛いけど……イヴは?」
「大丈夫だよ」
「そう、良かった。それよりここって……おもちゃ箱の中? アタシたち落とされたのよね……追ってきたあの子に……。って、イヴ、顔色悪いけど本当に大丈夫?」
ギャリーは私の顔を心配そうにのぞきこんできた。
「うん、私は大丈夫だけど、薔薇が……」
「薔薇? ……って、え!? イヴ、もしかして入って無くしちゃったの!?」
「うん……」
「大変じゃない!! 急いで探しましょ!!」
私とギャリーはおもちゃ箱の中を手分けして探した。だか、周りが薄暗くて薔薇はすぐには見つからなかった。その代わり――
「ギャリー!」
名前を呼ぶと、すぐにギャリーはこちらに来た。
「何? 薔薇見つかった?」
「ううん、まだ。でも代わりにこれ見つけたよ」
そう言って私はギャリーにそれを見せた。
「これって……鍵!?」
「うん。多分私たちが探したていたぴんくの鍵だと思う」
「そう。これで先に進めるわね。あとはイヴの薔薇だけど……」
その瞬間――
『キャハハハハハハ!!』
不気味な声が辺りに響き渡った。
それに、
「私にくれるの? やった!! ありがとう♪」
と言う無邪気な声が続いた。
「え……? この声って、まさか!? 行くわよ、イヴ!!」
「う、うん!」
ギャリーに手を引かれながら、声のした方へ走ると、やはりそこに居たのは金髪に青い目、高級そうな緑のワンピースを着た、仲間だと思っていた女の子――メアリーだった。
「メアリー!!」
ギャリーが声を出すと、メアリーはこちらを向き、今までと同じように笑った。
「あれっ!? イヴとギャリーだ! 探し物は見つかった?」
「…………」
「それより、さっきいいものをもらったの!」
そう言ってメアリーが差し出したのは、真っ赤な真っ赤な私の薔薇だった。