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作者: 姫凛 (総ページ数: 11ページ)
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*7*
五話 ハーレム?
色々考えた結果俺は――
「料理部に入ろう」
「ありがとぉーー」
「「えぇ〜〜〜〜」
料理部に入ることにした。
やっぱり、自炊くらいは出来ないといけないよな。いつ神月の家を追い出されても良いように、準備しておかないと…。
決して!玉餅先輩の胸、目当てで入るわけじゃねぇ!!本当に、心底から、神月の家を追い出された、一人暮らしを始めた、時の準備として料理を覚えるために入るだけなんだからなっ!!
「どうしたの〜、ハヤテくん〜?」
「えっ?いえなんでもないですっ!」
「ん〜??」
あ、あぶねー。油断してたぜっ、集中しないとな。ふっ、と息ついてる間に玉餅先輩が近くに来て…胸が…近くに……なんてなったら、今度こそ俺、鼻血の出し過ぎで貧血起こして死ぬわっ。一瞬の油断が命取りなる、気を付けないと…。
「君が決めたのなら仕方ない」
「やっぱり、健全な男の子は胸か…」
「ち、違いますっ!!」
何を言い出すんだ、霧姫先輩は…まったく…俺は別に玉餅先輩の胸なんて興味なって……ゴクリッ。
まだしばらく霧姫先輩はブーブー言っていたが、後は私に任せろと九条先輩が何とかしてくれると言ったから、俺と玉餅先輩は家庭科室に行くことにした。料理部は家庭科室がアジトだからな。
でも家庭科室なんて、家庭科の授業以外で入るの初めてだな…。
南の校舎三階に端にある家庭科室に着くと玉餅先輩はドアをガラガラ〜と開け、笑顔で
「ここが家庭科室よぉ〜」
と言ってこの部屋がなんなのか教えてくれた。
いや、何回か授業で入った事ありますよ。と言おうかと思ったけど、めんどくさいからあっそうですか、的な感じで頭を軽く下げた。
「あー。やっと帰って来たわね?ボタン。何処であぶらうってたのよー、もぉ〜」
家庭科室の中から聞いたことのある声が…まさかこの声は…。
「あ〜ん、ごめんぇ〜、新しい子の勧誘してたら遅くなっちゃて〜」
「えっ?新しい子?新入部員ってことっ!?でかしたわ、ボタン!で、ダレなのっ……って、え?」
「や…やぁ…」
家庭科室から出て来たのはやっぱりとゆうかやはりというか……神月ヒメノだった。
「ちょ、な、なんで、ハヤテがいるのよっ!?」
「それはこっちのセリフだっ!なんで料理下手のヒメノが料理部にいるんだよっ!」
「あれあれ〜?二人はお知り合い〜??」
俺とヒメノが言い争うをしていると、玉餅先輩が首を傾げて聞いてきた。
「話は、中でしましょっ。此処だと目立つわ」
ヒメノの案ってのはしゃくだが、確かに俺とヒメノの言い争いの声で野次馬達が、なんだなんだとゾロゾロ鬱陶しく様子を見に来ている。人の喧嘩を見に来てんじゃねぇーー!!
家庭科室に入るとすぐにヒメノは席に座って、顎でそこに座りなさいと、自分の反対側の席を指している。ちっ、ムカつく野郎だな。
「ボタン、これはどうゆうこのなの?説明して」
「どうゆうこともなにもぉ〜、ハヤテくんが〜今日から新入部員だよ〜って」
「アナタの目は節穴なのっ!?なんでよりによって、こいつを…」
ギロッとした目つきでヒメノは俺を睨んで来る。
うっさいなー、テメェに指図される覚えはねぇーよ。こっちも睨み返してやる。
「二人は知り合いなのぉ?」
「…そうよ。ハヤテは、私のイトコよ」
「まぁ〜」
ヒメノはものすっごく嫌そうに言った。まぁ、俺もあんな奴といとこだなんて嫌だけどなっ!
でも何故か玉餅先輩は嬉しそうにニコニコ笑ってる。…あの、今の会話で面白いとこありましたか?
「よかったぁ〜。ヒメちゃんとハヤテくんが知り合いでぇ〜」
「な、なんでよ?」
「だって〜、たった三人しかいないのにぃ〜仲良くなれかったらどうしようって〜」
「えっ?えっ三人?」
「なによ、聞いてなかったの?」
うんと頷くとヒメノは、ハァーと重たいため息をついた後、この部はまだ作り立てで部員は玉餅先輩とヒメノの二人しかいないらしい。って二人でも部として作れるんだ…。
とかつぶやいてしまったら、貴方馬鹿?とまた馬鹿にされてしまった。うっせ、馬鹿って言った方が馬鹿なんだっ。バーカバーカ!
ちゃんとした部にするには最低五人必要で、今は生徒会長のお情けで形だけあるという状態らしい。理由は、来年には二人とも卒業して料理は廃部となるから、だそうだ。
でも、玉餅先輩的には、下級生達に引き継がれてずっとあって欲しいと思っているみたいだ。ヒメノは知らないけど。
今は勧誘活動を二人で頑張っているみたいだけど、知名度が低すぎて誰も入ってくれないみたいだ。
俺もうちの学園に、料理部なんてものがあるなんて初めて知ったけどな…。
「ハヤテみたいなゴミでもいないよりかは居た方がいいわ。今料理部は、廃部の危機だから」
一々、ムカつく言い方しか出来ないのかこの女はっ!
「お願いっ!料理のために一緒に頑張ってくれないかしらぁ?」
目を潤ませて玉餅先輩はおっしゃられている。
ヒメノの頼みだったら頑固拒否だけど、玉餅先輩の頼みなら…
「喜んでお手伝いしますっ!」
「わぁ〜、ありがとぉ〜〜」
「ふんっ」
こうして俺は正式に料理部の部員となり、玉餅先輩と楽しく雑談しながら料理の作り方を教わっている。
あ?ヒメノ〜?知らねぇーよ、あんな奴。俺は玉餅先輩の為に、この部に入ったんだ。なんなムカつく女なんて、ムシムシだっ!
俺なりに玉餅先輩と二人で頑張ったつもりだったんだが、部員は独りも入らず料理部は廃部となってしまった。
どいしてこうなってしまったんだ?俺の何が間違っていたんだ…?
玉餅先輩は仕方ないよ…と現実を受け入れてたけど…俺は…
料理部が廃部になってフリーなった俺は、また前と変わらない平凡で退屈な毎日を過ごしている。
やっぱり、俺なんかに青春なんて似合わないんだ。彼女なんていらないんだ…。
俺は――
ずっと独りでいいんだ
廃部END