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作者: 姫凛 (総ページ数: 11ページ)
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*8*
三話 彼女との再会
色々考えた結果俺は――
「帰宅部に入ろう」
「ヨッシャー!!」
「あうぅ〜、やっぱりユウナちゃんにはかなわないぃ〜」
「…はぁ、まさか霧姫に負けるとはな」
帰宅部に入ることにした。
別に霧姫先輩にどうだこうだと言うわけではなく、ただ普通に楽そうだなって理由で入ることにした。
だって霧姫先輩がやってる部活だぜ?普通に青春してる部活なわけないだろ。きっと、ただひたすらにダラけてれば良いって部なんだろうな。
「ささ、負け犬達はほっといて、我が帰宅部のある旧校舎に行くよん」
「あ、はい…って旧校舎っ!?」
旧校舎ってあの旧校舎かっ!?
昔使われていた校舎だけど、新しい校舎が出来てからは誰も寄り付かなくなり、立入禁止になってからは幽霊やらんやらが住み着いていると噂されるあの旧校舎かっ!?
「ん?どんしたんだね、ワトソン君」
「いや俺、ワトソンじゃないです。ホームズ先輩」
「あははっ、そんだけノリが良いなら大丈夫だって!オバケ君達も君を喜んで出迎えてくれるよ」
「はぁっ!?マジでいんのかよっ!!」
霧姫先輩はあはは〜と笑って誤魔化しやがった。玉餅先輩と九条先輩に助けを求めたんだけど
「「おたっしゃで〜〜」」
と妙な造り笑顔で手を振って見送られてしまった。くそうっ!見方は誰もいねぇーてかっ!!あぁ、そうですかっ!じゃあ自分でお化けでもなんでもしてやるよっ!!ああーーチクショー!!
決して行動には出さなかったが、心の中では頭抱えて暴れまくってた。
お化けなんてそんなのいるわけないだろ?俺よぉ。だってそんな非科学的なモノなぁ?見えない触れられない物をどうやって怖がれって言うんだよ、そうだよなーあははっ!!
考え込みすぎて俺の理性がヤバイ事になりつつあった…。
校舎を離れ木々が沢山生い茂る森みたいな所を歩く。てか、学校にこんな場所あったのかよ、初めて知ったぜ。ここある意味サボりスポットだな。校舎からは木が邪魔で見えないし、先生もこんな所まで見回りにこないだろ、日差しも丁度よくて心地いいし良い昼寝スポットでもあるなー。
「おー、ついたー、ついたー」
「ここが…」
霧姫先輩に連れて来られた場所は古びた校舎だった。いやまぁ旧校舎に連れて行くとは言われてたけどな。でも言われててもビックリはするもんだ。
窓ガラスとか割れてるし、苔も生え放題だし、建物自体荒れ放題だし、中は暗い、電気通ってんのか?
つーか、こんなとこによく集まろうと思ったな。帰宅部ってこんなとこでなにする部なんだよ、一体。
旧校舎は中も外もボロボロだ…。床穴が開いちまってんじゃねぇーか!落ちたらどうすんだよ…。
俺は落ちないように慎重に慎重に歩いているのに、この先輩と来たら…
「フッフ〜ン、ヨットホットエット!」
軽々と無神経に廊下を通ってゆく。例えるなら、谷底なんかにあるボロボロの桟橋で無神経にダッシュで通過して、ロープが切れてそのまま落下するような阿呆みたいな。
この人には絶対にそうゆう結末がお似合いだ。
「あっ。ここだ、ここ。ゴミ虫君はやくはやくー」
霧姫先輩はとある教室の前で止まった。
う、うるぜー。こっちは落ちないように慎重に歩くので精一杯なんだ!あんたの都合で動けるか!!
つーか、俺はゴミ虫って名前じゃねぇ!!
「ハァー」
「ため息ついてたら、幸せが逃げちゃうぞ、少年よ」
「誰のせいだと…」
言ってやろうかと思ったが止めた。だってこの人に常識なんて通じるわけないよな…。こうゆうタイプの奴って自分自身が辞書って感じだからな。
「皆の衆ー、僕が帰って来たよー」
いや、あんた何様だよ。とツッコミそうになったが、止めた。とゆか俺この人相手だと諦め、止める事多いな…まぁ、別にいいけどな。俺は人生そのものを諦めたようなもんだからな。
教室のドアをガラガラと開け霧姫先輩が入って行くと何処かで聞いた事のある声が聞こえた。
「あっ!お帰りなさい、ユウナ先輩」
「たっだいま〜〜〜、ミカン君〜」
ん…?ミカン?何かが引っ掛かった。
ミカン…誰だっけ?そんな名前の奴を俺は知っていたはずだ。確か…大切だった…。
「…ぁ」
「………」
教室に入り彼女の顔を見るまで思い出せなかった。そうだ―ー
丸井ミカン
丸井の下の名前はミカンだった。
丸井は俺を見て目を丸くして驚いている。当然だよな、あの日から一年間、俺は一度も丸井とは目を合わせなかったし口を利かなかった、だって俺なんかと仲がいいなんて知られたらきっと、丸井は周りの奴らから仲間外れにされ虐められるにきまってる。
俺なんかが傍にいたらあいつは、不幸になるに決まっている。
「すみません、霧姫先輩。やっぱ俺…」
「待って、天駆くんっ!」
「っ」
「………」
霧姫先輩に入るのをやめますと言おうとしたのに丸井が止めやがった。なんでだ?俺は…お前の傍に居たらいけないから、離れようとしてやったのにっ。
霧姫先輩は察しが良いのか、無言で俺達の間に入りしばらく俺と丸井を交互に見つめた後、ハァースゥーと大きく深呼吸した後、
「ゴミ虫君」
「なんですか?」
声をかけられた。
この人相手に、一々ツッコむのはさすがに馬鹿馬鹿しくなってきて、普通に返事をした。
「うちの部はさ、自由がモットーだからさ、ぶっちゃけた話、名前だけ貸してくれるだけでもいいのだよ」
「はぁ…はぁ…、俺用事思い出したんで、帰ります」
「うん。じゃあ、まったね〜」
「…ぁ、またね」
「……また」
俺は一応、帰宅部入った
男に二言はねぇとかそうゆうのじゃなくて
霧姫先輩も名前だけ貸せば良いって言ってたし
形だけでも部活に入ってるって言っとけば
もう他の部から誘われる事なんてないだろうし
もう…誰かと関わる事なんてなくなるだろうし
あの日から何度も丸井は俺に何かを言おうとしていたが
俺はあえてそれを無視し続けた
だって俺に関わった人は――
不幸になってしまうのだから
逃避END