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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*25*
「・・・・これでお互い3人が倒れ、我々は2勝1敗1引き分けとなるわけ
だが・・・この際タッグマッチで雌雄を決するというのはどうかな?」
突如カイザーさんの提案に、ジ=アニマルズは警戒したようだったが、キャプテンのライオンが、「それはいい。二人まとめて倒してあげよう」といったため、片割れである、ゾウも異議申し立てをすることはなかった。
こうして急遽タッグマッチに決まった最終戦。
これに勝てばベスト8進出だが、果たして俺たちは奴らに勝つことができるのか?
俺たちのチーム名は『アポロンズ』。
カイザーさんの異名は太陽神。俺もそれにあやかりたいということでふたりのアポロンという意味のこのタッグ名に決定した。
アニマルズは『キングアニマルズ』というタッグ名にした。
カーン!
最終戦のゴングが鳴る。
先方は俺からだ。
散々チームメイトを甚振ってくれた借りを今何倍にもして返してやるぜ!!
「無様だな。話にもならん」
その数分後、ゾウの屈強な足に踏みつけられた俺がいた。
やはりツートップは他の奴らとは訳が違う。強い!
「パフォパフォ。どうやらお前はこのままハエのように潰される運命らしいな」
メリメリと奴の足が俺の腹に食い込む。
「ぐっああああああああ!」
「これぐらいで悲鳴を上げるとは、やはりただの小僧だったというわけか」
「・・・・タ、タッチだカイザーさん・・・・」
カイザーさんの長い腕のおかげで俺はなんとかタッチをすることができた。
「パフォパフォ。フランスレスリング界のチャンピオンの実力、とくと拝見させてもらおう!」
「よかろう!」
ふたりはリング中央で力比べをはじまる。
ググググググ・・・・・
両者は互角。
だが、カイザーさんはぐっと体を反らし、巴投げをお見舞いした。
ゾウはすぐに立ち上がり、その鉄拳を振るう。
「ボクシングなら受けてたとう!」
パワーファイター同士の足を止めた殴り合いが続く。
しばらくして、ゾウがカイザーさんの拳を腕でガードし、その隙を見て持ち上げ、ボディスラムで叩き付けた。
「パフォー!『タスクレイピア』!」
ゾウは左右に伸びる鋭利な牙でカイザーさんを串刺しにしようとする。
だが、そう簡単に当たるわけがない。
牙をつかまれ、そのまま持ち上げられ、放り投げられる。
「パフォパフォ。ここまでの実力は俺以上だ。力もある技も切れる、お前は只者ではないな」
「・・・・キミにとってはそう感じるかも知れないが、私はそんじょそこらにいるレスラーに過ぎない」
「謙遜などいらぬ。堂々と言ったらどうだ?お前の正体をな」
「私に正体などない」
「嘘をつくな。その様子を見ると、仲間にもばらしていないようだな」
「くだらない詮索をしてなんの意味があるというのだ。これは勝負だ。私情を挟まず正々堂々真っ向勝負、クリーンファイトのプロレスが私の信条だ。そこに私情を挟むのは私としてあまり褒められたことではない」
「パフォパフォ!!お前がその気なら、こっちは意地でもお前の正体を暴いてやるぜ!」
「・・・・ああ、よかろう。私に勝てたらいくらでも暴くがいい」
カイザーさんは彼をもちあげ、パイルドライバーの体勢をした。
だが、普通のパイルドライバーとは違い、きりもみ回転させながら、相手をマットに落とした。
「グヘッ!」
その一撃でゾウは完全失神。
わずか5分でカイザーさんの勝利となった。
「本来ならここでキミにタッチといきたいところだが、井吹、キミには二回戦で思いっきり暴れてもらいたい、だが、キミはまだまだ実力不足。ここは私が勝負をつけてあげよう」
カイザーさんはその発言どおり、ライオンをたった20秒でアルゼンチン=バックブリーカーでKO。
今大会最速でKO勝ちを決めた。
ライオンに楽勝した後、彼は優しく俺に微笑み、
「本当の勝負は二回戦からだ。だが、我々のチームメイトが復帰できるかどうかにかかっている。まずは、彼らの見舞いに行こう」
俺はこのおっさんの人間離れしたあまりの強さに、興奮が冷めならぬまま、仲間が入院している病院へ向かった。