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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*26*
病院に見舞いに行った俺たちを待っていたのは、ロディとカスター、そして見慣れない顔の美少女だった。
「ロディ、カーネル、彼らの容態はどうだった?」
「ウム。星野とメープルは退院まで4日かかる。だが、幸いなことに王李は明日中にでも退院できそうだ」
「そうか、それはよかった」
「けどよぉ、3人だけじゃ人数不足だろ?だから、代わりに俺とコイツが参戦することになった」
ロディは美少女に肩を抱きながら言う。
彼が参戦してくれるのであれば、いくらか心強い。
「自己紹介が遅れましたね。僕はヨハネス=シュークリーム=ブラームス。ドイツで探偵をやっています。ちなみに男の娘ですので、どうぞよろしく」
ニコッと可憐な笑みを浮かべるヨハネス。
腰まである長い金髪をたなびかせ、逆さまつげ、切れ長の薄緑色の瞳が印象的で茶色のインバネスコートに探偵帽子という格好のヨハネスは、本人曰く「男の娘」という稀な性別らしい。
「こうみても、僕はスターさんの1弟子だったんです。数年前、あまりに僕が可愛いって、彼が僕を冷凍生命維持装置の中に入れて、歳を取らせないようにしたんです。まあ、表向きはIQ215の天才児を保護するって名目だったんですがね・・・・・」
よくはわからないが、あの会長に相当可愛がられていたってことは分かった。
「会長はショタコンですからねぇ・・・まあ、僕は男の娘だから似て非なる存在といえばそうなんですが、あの会長のこと、僕が眠っていた数年間、世界中から美少年を探し出して弟子にしているんでしょう?」
ヨハネスはカイザーさんを横目で見る。
「まあ、そうだな、ヨハネス。私の弟も寝ている間に襲われかけてな・・・・」
「そうだったんですか。でも、僕が起きたからもう大丈夫だと思いますよ。たぶん」
最後の方、なんだか自信なさげだったけど、本当に大丈夫なのか?
「何がですか?会長が僕たち弟子を夜中、ベッドにもぐりこんで襲っているって話ですか?」
ヤバイだろそれ!犯罪だろ!?
「ご心配なく。スターさんにはラグくんがいますからね。きっと毎晩彼がスターさんのお相手をしてくれているんでしょう」
なんだか聞いているだけで、嘔吐しそうになるのは俺だけか?
「もうみんな慣れっこになっていますからね。ジャドウさんやここにいるロディさん、カーネルさん、カイザーさんはあきれ果てていますよ」
言われて気がついたが、3人ともどんよりとした空気が流れ、死ぬほど暗い。
「なんで俺、あんな師匠の弟子なんかになったんだろ・・・」
「まあ、ロディ。今に始まったことじゃないさ・・・」
「私の最愛の末弟ハニーよ、兄さんが帰ってくるまで、生きているんだぞ!」
なんなんだよ、こいつらの会長って。
「あの人、格闘技に関しては神様ですが、実生活ではただのアホ、バカ、ドジ、間抜け、変態ですから、気にしないでください」
うおっ!?コイツ、可愛い顔して物凄い毒を吐きやがった!?
「まあでも、あの変態の会長のおかげで僕たちは人知を超えた力を手に入れたわけですから、感謝しないといけませんね」
「まあ、そうだな・・・・」
「感謝しとくか、会長さんによ!」
「私はまだ不安がぬぐいきれない・・・・」
するとヨハネスが懐から1枚のDVDを取り出した。
「そういえば、これ、会長があなたたちに見せろって貰ったんですが、一応確認のため、みんなで見てみましょうか」
☆
というわけで借りてあるホテルの一室に戻り、DVDを見てみることにした。
最初に会長のどあっぷの顔が写された。
『やあやあ、諸君!世界大会は楽しんでいるかな?私は今、最高に幸せだよ。なぜだか分かるかね、可愛い可愛いハニーくんを抱っこしているからさ。ハハハハハハハハハハハ!!』
会長はハニーを抱きしめ頬ずりしている。
当のハニーは苦笑いしながら困惑気味だ。
『ああ、柔らかいなあハニーくんのぷくぷくしておもちみたいな白いほっぺ、きみはもう食べちゃいたいくらい可愛いよ・・・』
と、ここでむちゅーと会長がハニーの唇にキスをした。
「おうええええええええっ」
俺はたまらずその場で嘔吐する。
「きたねぇぞ、おい!」
「悪い」
俺がロディに謝ったその刹那、
ドォン!
轟音と共にカイザーさんがテーブルを拳で叩いた。
「おのれい!あの変態め!!私がいないことをいいことに、わが弟を〜!!」
「カイザー、おちつけ!」
「これが落ち着いていられるかああああああ!!日本へ帰ってあの会長に鉄拳を食らわせてやるわあああああああああああああ!!」
怒ったカイザーさんはもうこの世の終わりが来たかのような大変な怒鳴り声でわめきたて、拳で何度も何度もテーブルをガンガン叩く。
どうでもいいけど、この原型を失くしたテーブルの弁償代は俺たちが払うんだよな・・・・?