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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*52*
トミーの体が縦にさけ、血が噴水のように周りに飛び散る。
奴はそのまま、撃沈し、倒れてしまった。
この瞬間、ヨハネスの奇跡の逆転勝利が決まった。
俺は嬉しさのあまりリングへ上がり彼を抱きしめる。
「ヨハネス、よくやった!よくやった!」
彼は微笑し、「ありがとう」と言った。
俺たちは勝利の余韻を浸っているが、不動さんとジャドウだけは、まだ警戒の色を弱めない。
すると、不意にトミーが立ち上がった。
「ニャハニャハ。まあ、あなたの実力はこんなものでしょう」
「お前、まだ立ち上がれるのかよ!?」
俺は後ろでヨハネスをかばいながら尋ねる。
これだけやって、致命傷さえ負わず意識もあるとは・・・・奴の底知れぬ強さに俺は恐怖を覚える。
「ニャハニャハ。私はヨハネスごときの必殺技で倒されるほどヤワではありませんよ。ですが、私を倒し、決勝進出を成し遂げたあなた方にちょっとしたサプライズをお見せしましょう」
奴が指を鳴らすと、入場入口から白いフードで身を包んだ怪しい4人組が現れたかと思うと、俺たちのいるリングへ上がってくる。
何者なんだ、こいつらは・・・・・
「彼らと私を合わせた5人があなたたちの決勝の相手、『ブレッド=ファミリー』です」
すると奴の衣装が再びはじけ飛び、今度は白い貴族風の服に早変わりした。
だが、それよりも俺が気になったのは、奴らのチームの名称。
もしかすると、こいつらまさか、全員カイザーさんの親族か!?
「ご名答」
奴は薄笑いを浮かべ、手を広げる。
「これが私の真の姿。今までのは仮の姿だったのです。
私は単なる助っ人としてこのチームに参加したにすぎません。
私の本来の所属チームはこのブレッド=ファミリーなのですから」
さらに奴は俺たちもチームメンバーをかえたのだから、何も言えないと続ける。
言われてみると確かにそうなので、俺は黙ることしかできなかった。
トミーの後ろにいる奴らは姿こそわからないが、全員強豪であることだけは間違いない。
それにヨハネスが死力を尽くして戦ったトミーはまさかこの中で一番弱いのでは…?
そんな不吉な想像をしていると、奴は俺の考えを読んだかのように不気味な笑い声を上げる。
「想像して楽しみにしていてください。それでは、当日まで首を洗って待っていてくださいね」
だが、俺には恐怖よりも楽しみの感情が湧き上がってきた。
こんなにワクワクするのは、サッカーを辞めて以来久しぶりだ。
俺は片方の拳をもう片方の手で押さえ、パンッ!と音を立てた後、宣言した。
「上等だ、決勝でお前たち全員ブッ潰してやるぜ!!お前らに俺たちの、特に俺の底力を嫌というほど見せ付けて、ぜってぇ、『参った』って言わせてやる!!」