完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~

*63*

「ニャハニャハ。見せられるものならみせてごらんなさい」

彼は先ほどよりも明らかにスピードを増し、急接近してきた。

速い!捕えきれない!

彼はボクが繰り出すニードロップやエルボーなどをその素早い動きで次々に避けていく。

「どうしました?私を倒すのではなかったのですか〜?」

彼はボクの服の袖の掴むと力任せに引きちぎる。

ビリビリと音がして袖が破れる。

な、なんて凄い握力なの、この変態!

「では、もっと引きちぎって差し上げましょう!」

彼は言うが早いがどんどんボクの服を剥いでいく。

おなかの部分が破れ、おへそが露わになる。

「まあ、きれいなおへそですね〜。ニャハニャハ」

この変態男はボクのおへそに指を入れてぐりぐりといじりはじめる。

「変態、これでも食らいなさい!」

ボクは奴の腕を掴み、一本背負いをお見舞いする。

けれど奴はさほどダメージを負っていないようで、すぐに立ち上がる。

「『アイアンクロー』!」

敵の一瞬の隙を突き、ボクは必殺技を炸裂する。

だが、奴は余裕の表情を崩さない。

「ニャハニャハ。もっと握りしめなさい」

コイツ、Mか!?

ボクはそんな疑問を浮かべながらも右手に力を加えていく。

「女になってもその程度の力しか出せないのですか。残念です」

彼はそう言い、ボクの右腕をその怪力でなんなくはずし、パワーボム、ジャンピングパイルドライバーを連続で食らわせる。

女の体のボクにとってはこれはアニキを超える大ダメージになった。

受け身を取ることができればよかったのだが、生憎ボクは受け身がうまくない。

それでも気力を振り絞ってなんとか立ち上がる。

「よくたちあがってきましたね。それではご褒美としてあなたに私の必殺技をプレゼントしましょう」


彼はロープへバウンドし、ボクに急接近すると、ロメロスペシャルをかけた。



全身の関節がミシミシと音をたて服が破け、成長途中の胸が露わになる、ものすごい威力(ちなみにボクは普段が男なのでブラジャーはしていない)。

このままでは醜態をさらした挙句、ボクは負ける。

「さあ、ギブアップなさい」

彼はますます力を込め、ボクにギブアップを要求する。

でも、ボクにその気はなかった。

ここでギブアップをしようものなら、みんなに迷惑がかかる。それだけはできない!

今のボクの役目は、少しでも彼の必殺技に耐えて、打倒策を編み出させる時間を稼ぐこと。

ここからは敵とボクの耐久力合戦だ!

ボクはたとえ両腕がおられても両足が折れようと絶対ギブアップなんかするものか!

ボクの心の奥底に流れる負けず嫌いのゲルマン魂でこの勝負、絶対に持ちこたえて見せる!

でも、心はそう思っていても体は限界らしい。

全身の関節が嫌な音を立て、悲鳴を上げ、口からは血が吹き出し、つばがあごを流れ伝う。

自分でもかなり情けないけど、今はそんなことを気にしている場合じゃない!

「ギブアッ……」

あまりの激痛に思わず降参の声が出かける。

ボクはハッとして唇を強くかみしめ、続きの言葉を言わないように全力で耐え忍ぶ。

口を開くことができないので、首を何度も何度も横に振り、耐える姿勢を見せる。

「仕方ないですね。このまま殺してあげましょう」

ピシッ!

ボクの両腕から鞭のしなるような音と激痛が走り抜ける。

恐らく両腕の筋肉の筋が切れたのだろう。

「では、今度は両足です」

またしても音とともに両足に力が入らなくなる。

「ウッ……アッ……」

ボクの口から嗚咽が出され、両目から涙が溢れ出てくる。

痛い、すごく痛い。

だけど、みんなのために、ボクは死を覚悟した。

「みんな見て!これが、ボクの死にざまだ―ッ!」

彼はサディスティックな笑みを顔全体に浮かべ、

「それではあの世に行きなさい!MAXパワー!!」


62 < 63 > 64