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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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*67*

次の試合、ハニーは対戦相手である怒雷氷(ドライアイス)の顔が怖いという理由で棄権。

彼の対戦相手は俺になったのだが、はっきり言って俺でも死ぬほど怖い!

黄色に光り輝く両目、骸骨のように痩せこけた頬、無表情の顔に物凄い高身長。きっとバスケ選手なら彼は大活躍間違いなしだ。

「私の身長は2メートル40センチだ」

な、何!?ギネス級じゃねえか。

「そうだ、井吹宗一郎。私は世界一の高身長としてかつてギネスブックに載ったことがある」

深く響く重みのある声が無言の威圧感を放つ。

俺は一体どうやってこんな化け物倒せばいいんだ?

「フハハハハハ」

口だけ開けて笑う怒雷氷。しかも口から白い煙が出ている。

「気にするな。ただのドライアイスだ」

気にするなって、このじいさんドライアイス食ってるのかよ!?

「では、試合を始めるとしよう」

じいさんはゴングが鳴ると同時に、まるで亡霊のように足音もたてずにゆっくりと近づいてくる。

「逃げるのか」

無表情な顔で尋ねるじいさん。

俺はリングを走り回る。まともにぶつかったら勝ち目がない。

「フハハハハハ。逃げ回り、私を混乱させる作戦だな。
だが、そうはいかん」

強烈な18文の蹴りが飛んできて俺に命中する。

1発当てられただけなのに、激痛が走る。とんでもない威力の蹴りだ。

「逃げるのが得意か。では逃げてみるがいい」

カッと黄色い目を光らせ、口をパカッと開くじいさん。

するとなんと、口から炎が放たれた。

「フハハハハハ。キミたちの仲間、ヨハネスの帽子を返して欲しければ私を倒してみたまえ」

そうだ。考えみれば、ヨハネスの帽子はこのじいさんの懐の中だ。

あの帽子がない限りあいつは男に戻れない。

「ちくしょう!ぜってぇあんたから、ヨハネスの帽子奪い返してやる!」

俺は拳を固め敵に突進していく。だが、敵は顔色ひとつ変えない。

「やぶれかぶれだな、井吹宗一郎。私の極寒のレスリングを、思う存分味あわせてやろう」


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