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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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日常編その1

ジャドウの決闘好き

ジャドウは三度の飯より決闘が好きな男だ。

強い相手を探しては挑戦状叩き付けて正々堂々勝負をする。

母国ポーランドで従軍したのち、レスラーになった彼は、持ち前の残虐ファイトで次々に対戦相手を血の海に落としていったらしい。

そのころを回想して彼は俺に語った。

「俺は戦いこそが生きがいだ。それを取ったら何も残らない」

そんなことを彼が話すたびに、俺は彼が危険人物だという概念ぬぐえないが、いいこともたくさんしている。

街中で困っている年寄を見つけたら声をかけて助けてあげるし、不良にからまれている気弱な少年がいたら敵を血の海に落とすし、絶対に卑怯な真似をしない。

常に誰の助けも求めず、自分ひとりの力で解決する。

この気高さが彼の一番いいところだと思う。

決して威張らず、クールにハードボイルドに悪に徹している。

本人は「グレー」といい、それ以外の色で自分を現すことをしない。

「グレー」つまり、彼は善と悪を知り尽くした男なのだろう。

俺は彼の行動を見るたびに、ダークヒーロー的な感覚を覚える。

悪人のように振る舞いつつ、その心の奥底には誰よりも正義や愛が溢れていると思う。

だからこそ、みんな暗黙の了解で彼を信用しているのだろうか。

そして彼はきょうも俺にサーベルを向ける。

「井吹、剣を持て。男と男の戦いを始めよう。フフフフ……」

日常編その1 ジャドウの決闘好き おわり

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