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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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*75*

「次は僕の出番ですね」

星野がゆっくりと椅子から立ち上がる。

星野の相手はフレンチ=トースト。

どちらも人間離れした強さを持っているだけに、凄まじい死闘になることだけは予想がつく。

「僕の対戦相手は星野ですか。まあ、ボクのダンス拳法の前には手も足も出ずに敗北してしまうでしょうがね」

綺麗な顔に似合わず毒を吐くフレンチ。

星野は何も言わず、ただじっと対戦相手を見つめるだけだ。

そして試合が始まった。

「ボクの華麗な技を食らってね、自称天使。ミュージックスタート!」

彼が指を鳴らすと会場内に取り付けられてあるスピーカーから優雅な陽気な曲が流れ出してきた。

フレンチは目にも留まらぬ速攻を繰り出し、キックとパンチの雨あられを次々に星野にヒットさせる。

星野はガードに徹し攻めることをしない。

3分後、音楽が止んだその直後、星野が1発ジャブを放った。

たった1発のジャブはフレンチの顔面にクリーンヒットし、彼は衝撃で大きくのけ反る。

ロープに激突する寸前になんとか踏みとどまり、衝突を避ける。

「なかなかやるようだね、でもこれ以上の攻撃は決めさせないよ」

星野は無言でジャブを放つかと思いきや、素早く空いている方の手でアッパーを炸裂させる。

「ぐはぁ!」

フレンチは吹き飛び、落下する。

「なぜだ……なぜボクの完璧なダンス拳法がきかないんだ!」

立ち上がった彼は明らかに動揺し始めている。

自分の最高技が効かないのだ、動揺する気持ちはよくわかる。

「会長が僕に教えてくれたんです。キミの使う拳法の致命的な弱点を」

「ボクの拳法は無敵だ!弱点などあるわけがない!」

だが、星野は冷静に続ける。

「まず1つ。音楽に合わせた動きしか取ることができない。2つ―これが最大の弱点なのですが―曲が止むと極端に弱体化することです。このまま、星になってください。『天使のアッパー』!」

星野の渾身の必殺アッパーが決まり、フレンチは文字通り大空へと消えて行ってしまった。

「自業自得です」

彼を瞬殺した星野は、決め台詞を無表情な顔でポツリとつぶやいた。

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