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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*106*
「星野、この試合嫌な予感がする」
東京ドームのオーロラビジョンで8分割された、それぞれの試合中継を見ていた不動さんがぽつりとつぶやきました。
「嫌な予感?」
「ああ……なんだかジャドウと天王星の対決を見ていると、悪寒がする。これはもしかすると、この試合、最悪の展開を予想しなければいけないかもしれないな、星野」
最悪の展開…それはジャドウさんの死。
僕は一応それは彼のことだからそれはあり得ないだろうと踏んでいたのですが、不動さんの言葉を聞いたとたん、不安が一気に募ってきました。
「ふ、不動さん。さすがにそれは心配のしすぎではないでしょうか…」
「だと、いいがな…」
彼の顔には冷や汗が浮かび、いつもより緊迫しています。
試合は今のところ一進一退。
お互いの必殺技も炸裂されていないため、まだ試合はわかりません。
見方によってはややジャドウさんが有利に試合を進めています。
このまま、この試合はどのように展開していくのでしょうか。
☆
「かけてみるがいい、お前の必殺技を!」
「何?あんたこの俺を舐めているのか?」
「フフフフフフ……どうした。お前は必殺技がないのか」
その言葉に、俺は銀河太陽系8神のプライドを傷つけられた気がした。
「そこまでいうならかけてやる!『キュクロプス・ヘカトンケイルーッ!』」
俺は奴を掴み、空高く放り投げ、奴の四肢を冷凍光線で凍り付かせて動けないようにし、そのままきりもみ回転しながら上昇し、奴の腹に手刀を食い込ませた。
俺の手刀は敵の腹に穴を開け、おびただしい量の出血をさせる。
「キャーッ!」
観客の中から悲鳴があがるが、下等生物如きの悲鳴で攻撃をやめる俺ではない。
掌から冷気を発射し、リングに鋭い氷山を作り上げる。そしてそのまま敵をジャーマンの体勢へ捕え、氷のキャンパスに激突させた。
「ゲホッ…!」
「氷葬の完成だ」
奴の体はぐらりと傾いたかと思うと、キャンバスに轟沈し、腹と頭から血がドクドクと流れる。
カンカンカンカン!
俺の勝利を告げるゴングが鳴り響いたその刹那、血だらけでジャドウがゆっくりと立ち上がってきた。
「フ…フフフフフ…これでいい…約束通り、俺の剣をお前にプレゼントしてやろう…」
彼は剣を俺に放り投げ、おぼつかない足取りでリング中央に歩き出した。
一体奴は何をする気だ?
「スター=レスリングジムの仲間たちよ」
ドスの効いた声で奴が口を開く。
「奴を倒し、この俺を超えろ。俺はお前たちの活躍を地獄で拝見させてもらう。これが俺がお前たちに与えてやる、最初で最後の課題だ…フフフ…川村よ、最後にお前ともう一度戦いたかった…では、さらばだ、親愛なる仲間の諸君!」
奴は何か小さなカプセルを飲み込み、大空へと舞い上がった。そして、
ドゴオオォオオオオオオオオン!