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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*105*
俺は言うなり、奴に目つぶしを食らわせた。
「ぐわっ!」
続けて金的攻撃をお見舞いする。
そして奴が倒れたところに、すかさず口に足を突っ込み、ぐりぐりとひねりあげる。
「フフフフフフ……どうだね、ここからが俺の本領発揮だ」
だが、奴も負けてはいない。力ずくで俺の足を口から引き抜き、手刀を浴びせる。
「チョップというのはこうして撃つのではないかな」
奴ののど元にぬき手を浴びせる。
「グエッ!」
少し姿勢を崩したところへ、おがみ打ちを数発放ち、地面へ倒れたところにストンピングをお見舞いする。
そして再び立ち上がらせ、ロープを使った目つぶし攻撃でリングを一周したところで、ラリアートを命中させた。
「…あんたの様な奴を悪魔、と呼ぶに相応しいんだろうな」
「俺は死神だ。悪魔ではない。訂正してもらおう」
「ハハッ、よく言うぜ。それだけ言える余裕があるってことは、あんたはまだ手加減しているのか?どうせ俺に殺されるのだから、手の内を…」
隙を逃さず、奴が話終える前にキッチンシンクを放つ。
「グハッ…ひ、卑怯だぞ…!」
「それは違う。油断しているお前が悪い」
「そうかよ…その言葉、100倍にして返してやるよ!」
「フフフ…期待しているぞ」
ここで俺は剣を引き抜き、奴に切りかかる。
「な…武器を使うだと?卑怯ものめ!」
「お前も武器を持っているのだから、条件は同じだ」
サーベルの柄の部分で敵を何度も殴り続ける。
一折殴り終えたところで、彼の頭をつかみ、コーナーポストまで走っていき、鉄柱に叩き付ける。
奴の中性的な顔から血が吹き出し、たちまち血だるまと化す。
会長が見たら卒倒しそうだな。
そのまま気にすることなく、敵の顔面を掴みアイアンクローをかける。
「お前の顔面をザクロのようにしてやろう」
「死神の癖にいい気になるなよ!」
奴はエルボードロップを数発浴びせ、アンアンクローから脱出すると、卍固めをかけた。
「あんたは許せねえな、俺の顔面をこんなにしやがって」
「フフフフフフ……それならどうするというのだ?」
「こうだ!」
奴は卍固めからバックドロップにスイッチし、俺をマットに叩き付ける。その威力に少し意識が飛びかけた。だが、まだ戦える。
すると、不意に奴は笑みを浮かべ、こんなことを口にした。
「人間は愚かだ。…だが、その醜さを美しいと言う随分変わった奴を俺は見た事がある」
「フフフ、お前は人類を醜く愚かな生き物だと思っているようだな」
「当然だ」
「…俺もそう思うときはある」
「ではなぜ、あんたは人間の味方をするんだ?」
「フフフ…どうやら俺はお前に誤解されているようだ。俺は人間の味方など、1度もしたことはない」
「嘘をつくな。俺は調査済みだ。あんたが人知れず人助けをしているということを!」
「人助け?した覚えなどない」
「しらを切るな。あんたは年寄の荷物もちをしたり、集団で暴力沙汰に会わされそうになった少年を助けたりしているだろう?それを人助けと言わずなんというのだ!」
「…自分が起こした身勝手な振る舞いだ。
別に助ける役は俺でなくてもできる。
だが、俺は頼まれていないのに勝手に助けた。これはただの傲慢であり人助けなどではない。
それに、俺は数人でひとりをいじめるといった卑怯なことが何より嫌いだ。だから、そんな奴らを見つけると半殺しにしたくてしょうがなくなる。ただの癖で痛めつけているだけにすぎない」
「…そうかよ。あんたみたいな死神は、俺が殺して、この世界を平和にしたほうがいいかもしれないな!」
「そうか。なら、かけてみるがいい!お前の必殺技を!」