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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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僕は試合開始のゴングが鳴った瞬間、彼に足を狙った蹴りの連打を放ちますが、彼はビクともしません。
「ぬるいわ!」
彼は僕を片手で掴み、コーナーポストへやり投げのように投げつけます。
ですが、僕はターンバックルを蹴って舞い戻ると、人間魚雷で応戦します。
「こんなものーッ!」
彼は振り返り、僕を受け止めると、マットへこれでもかとばかりに叩き付けます。
今までのパワーだけで判断しても、彼は先ほどの10倍以上のパワーアップを遂げたと見ていいでしょう。
「今頃気づいたか。オーバーボディは全身スーツのため、呼吸も動きもかなり制限される。それがなくなった今、俺を邪魔するものは何もない!!」
「うわっ!」
彼のタックルを開脚で避け、飛び蹴りを見舞いますが、筋肉を膨張させて、簡単に弾かれてしまいます。
「お前の自慢は、どうやら蹴りだけのようだな」
「甘いですね、僕は拳技もできます!」
僕はスピードを生かした速攻で敵を攻め立てますが、敵はその巨大な掌でガードし、一撃もヒットを許しません。
「打撃がダメなら、寝技や関節技に持ち込むしかありません」
素早く相手の背後に回り、延髄蹴りでダウンさせると、その隙に僕の大必殺技のひとつ、キャメルクラッチを炸裂させます。
「早くギブアップしないと、骨が折れますよ!」
「それは、お前が闘ってきた雑魚に通じる言葉だ。俺には通用せん!」
なんと彼は、その驚異的な腕力で、自分の体重と僕の体重を倒立して支え、そのまま振り落してしまいます。
こ、これは…間違いなく、僕が今まで闘ってきた中で、間違いなく最強の敵です。
「王李少年、お前はどうしてこの俺をそこまで倒したい?」
「それは、ジャドウさんを殺したからです」
「バカなことを。奴は俺にこの剣を託して爆薬入りのカプセルを飲み込み、勝手に自害した。それだけの、つまらん奴だ」
「その剣を僕に渡してください…!」
僕が言いますと、映像が映し出されているオーロラビジョンから、不動さんの声が聞こえてきました。
「ガキ、なんでお前は奴の親友である俺を差し置いてまで、そんなにジャドウの敵を討とうと必死になっているんだ。仲間だからか?それとも他に別の理由でもあるのか?」
不動さんの顔を見つめ、僕は今まで誰にも明かさなかった、ジャドウさんと僕の、ふたりだけの秘密を打ち明ける決心をしました。
「それは、僕がジャドウさんの、唯一無二の弟子だからです!」