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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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この日の朝食の時間、僕とおじいちゃんは一緒にプロレス中継をテレビで見ていた。
テレビに映っているのは、スター=レスリングジムの人たちで、神様を名乗る人たちと、世界各国に設置された特設リングで激闘を繰り広げていた。
「ふむう…さすがはわが弟子じゃ。よくここまで弟子たちを鍛え上げたものじゃのう」
おじいちゃんはホクホク顔でテレビ画面を見つめながら、つぶやいた。
その発言が気になった僕は、おじいちゃんに訊ねる。
「おじいちゃん、スター=レスリングジムの人の中に弟子がいたの?」
すると、おじいちゃんは、ニコニコ微笑み、
「このお店の常連客である、会長のスターくんがおるじゃろ。彼はわしの弟子じゃ」
その衝撃の発言に、僕は思わず腰を抜かしそうになった。
「ぼうやにとってみれば、意外かもしれんがのう。わしは格闘家としての一面もあったんじゃ。
デビューして、引退するまでの50年間、誰にも負けなかったよ」
おじいちゃんが、こんな話をするのは、すごく珍しいことだったため、僕は思わず、ソファーから身を乗り出して話を聞いた。
「わしは『プロレスの魔法使い』と謳われておった。
もっとも、その当時の試合をリアルタイムで見た人はみんな亡くなっているじゃろうが…
それでな、スターくんは、ある日突、わしの元にやって来て、弟子にしてほしいと言った。
わしは別に断る理由もなくOKしたのじゃが、彼を弟子にして、本当によかったと思っておる。
わしは彼に格闘技と魔法を教えたのじゃ。
彼はみるみるうちに才能を開花し、デビューしてトップレスラーとなった…」
そこで一息ついて、
「それでわしは、彼をわしの友人、スリープマンのもとで修行させたのじゃ。
彼はここで、寝技と関節技をマスターした。
最後に精神力を養うために、もうひとりの友人、バードンのもとで強靱な精神力を手に入れ、彼はついに、心技体全てマスターしたのじゃ。
こうしてわしたちの自慢の弟子になったスターは『技の神様』と呼ばれるまでになり、その人気を不動のものにしたのじゃ。
それから彼は、世界各国で弟子を集めジムを作り、育成し始めたというわけじゃ」
スター=レスリングジムの誕生秘話を聞いて、僕は驚きと同時に、おじいちゃんとスターさんの偉大さを改めて感じた。
「のう、ぼうや」
ふと、おじいちゃんが僕の顔を見て言った。
「この際じゃから、きょうはお店を閉めて、クロワッサンくんと一緒に彼らの試合を観に行かないかの?」
「うん、行こう!」
僕はすぐに賛成した。
ちょうどそのとき、クロワッサンくんがお店に来たので、今の事を話すと、彼も大賛成し、3人でプロレス観戦をしにいくことになった。