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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*87*
ジャドウと白河ををぐるぐる巻きにした俺たちは、ふたりを問いただしていた。
「なぜこんなことをしたんだ?」
「すべては俺とスターの計画だったのだよ」
「何っ?」
実はジャドウはいち早く西洋妖怪が日本に冬眠している大ボスを復活させるべく、来襲していることをいち早く察知し、スターにそれを報告すると、敵を騙し、大ボスの正体を探れとの指示が出たので、彼は白河を雇い、俺たちを全滅させたふりをして、敵の本拠地で全員を元の姿に戻し敵勢力を復活したボスもろとも倒すことが真の目的だったというのだ。
それを知った俺たちは、一応彼に詫びた。
俺もなんか怪しいと思っていたのだが、あまりに奴の演技が完璧すぎて見抜けなかった。
白河は早速、印を解き、みんなを元の姿に戻してあげた。
「クロワッサンくん!元に戻れてよかった」
真帆はクロワッサンに飛びつき、キスをした。
よほど嬉しかったのはわかるが、羨ましい気がするのは気のせいだろうか。
そんなことを考えていると、縄を解かれたジャドウがボスの正体がわかったというので、みんな耳を傾ける。
「西洋妖怪を名乗る流れ宇宙人たちの大ボスの正体…それは…」
って待て。今回の敵の正体も宇宙人だったのかよ。
「当たり前だ」
ジャドウはあっけらかんとしているが、俺は驚きを隠せなかった。
「それで、奴らの大ボスの正体は…」
トリニティさんが訊ねると彼は不敵に笑い、
「井吹、トリニティ。今度のボスはお前たちにもっとも因縁があるだろう」
「な…まさか…!奴が正体だというのか?」
彼はわかったようだが、俺は全然わからない。
「では、お前が最も恐怖を覚えた対戦レスラーと言っておこう」
その言葉で、俺の脳裏にひとりの人物の姿が思い浮かんだ。
まさか、あいつは宇宙に帰ったんじゃなかったのかよ!
するとその刹那、高らかな笑い声が聞こえた。
「フハハハハハ…半年ぶりだな、井吹宗一郎。そしてわが宿敵、トリニティ」
自由の女神を彷彿とさせる痛々しい兜をかぶった、骸骨のように無表情で長身のじいさんが俺たちの前に姿を現した。
「怒雷氷!あんた宇宙に帰ったんじゃなかったのかよ?」
「私は、まだこの地球で任務である下等な人間の粛清をしていないのでな。それを終えるまでは宇宙に帰ることはできん。だからパワーチャージのために半年間眠りについていたのだ。
そしてわが息子、トリニティ。300年前と同様、父を裏切ってまで、下等な人類の味方につくか」
衝撃の事実が今明かされた。