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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*97*
合宿1日目。
「起きろ、ガキ共!」
不動さんの怒鳴り声で俺は夢の中から起こされた。
目覚めはもちろん最悪だ。
すると、そんな様子を見た彼は、ニヤリと笑い、
「お前達、朝一番の修行は目覚めに最適だ。俺についてこい」
「待てよ、不動さん!」
俺たちはブツブツ文句をつぶやきながらも、おいて行かれては大変と走り始めた。
朝一のランニングはかなりきつく、想像以上に体力を消耗した。
汗だくで、風呂に入りたい。
「だろうな、井吹。さて、修行の場についたぞ」
彼が指さした先のあるのは、巨大な滝。まさかとは思うが…
「ガキ共、半裸になって滝に打たれろ。それが序章だ」
「あの…あたしもですか?」
おっ、もしかしてこの展開は、フォルテの半裸が拝めるかもしれない。
そんな期待を込めていると、不動さんが口を開いた。
「ビキニと服を着たまま、どちらがいいか、選べ」
「じゃ、じゃあ、服を着たままでいいですわ。ここは海じゃありませんし、ビキニに着替えるのも変ですわ」
「冷静な判断だ。それに比べて他のガキ共は、下品な妄想をするとは情けない!」
彼は鬼神の如き形相で俺たちを睨めつける。頼むから、そんな怖い顔をしないでほしい。心臓に悪いから。
「では、朝一番の修行を始めよう」
全員が滝に入ると、激流に打たれながら、彼が言った。
「ガキ共、この滝の上からそうめんが落ちてきたら、面白いと思わないか?」
珍しく彼がニヒルな笑みを浮かべたので、俺たちの顔にも少し笑みがこぼれる。
「まあな」
「だが、その考えは甘い。落ちてくるのは―これだ」
それを合図に、不動さん目がけて巨木が落下してきた。
「むうん!」
彼の頭に直撃したが、割れたのは大木の方だった。恐ろしい石頭だ。
ヘディングなら、たぶん世界を狙える。
「人間、修行をすれば何でもできる。これは初級編だ。さあ、やってみよう」
俺は、いや、他のみんなも、このとき同じことを思っていたのかもしれない。
(あんたは宇宙人だから平気かもしれないけど、こっちは人間だから)
すると、彼はクワッと目を見開き、
「そんな小さいこと、俺が知るか。くだらん常識を捨てろ、これは誰にでもできる」
…どうやら、俺たちはここで死ぬのかもしれない。