完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~

*97*

合宿1日目。

「起きろ、ガキ共!」

不動さんの怒鳴り声で俺は夢の中から起こされた。

目覚めはもちろん最悪だ。

すると、そんな様子を見た彼は、ニヤリと笑い、

「お前達、朝一番の修行は目覚めに最適だ。俺についてこい」

「待てよ、不動さん!」

俺たちはブツブツ文句をつぶやきながらも、おいて行かれては大変と走り始めた。

朝一のランニングはかなりきつく、想像以上に体力を消耗した。

汗だくで、風呂に入りたい。

「だろうな、井吹。さて、修行の場についたぞ」

彼が指さした先のあるのは、巨大な滝。まさかとは思うが…

「ガキ共、半裸になって滝に打たれろ。それが序章だ」

「あの…あたしもですか?」

おっ、もしかしてこの展開は、フォルテの半裸が拝めるかもしれない。

そんな期待を込めていると、不動さんが口を開いた。

「ビキニと服を着たまま、どちらがいいか、選べ」

「じゃ、じゃあ、服を着たままでいいですわ。ここは海じゃありませんし、ビキニに着替えるのも変ですわ」

「冷静な判断だ。それに比べて他のガキ共は、下品な妄想をするとは情けない!」

彼は鬼神の如き形相で俺たちを睨めつける。頼むから、そんな怖い顔をしないでほしい。心臓に悪いから。

「では、朝一番の修行を始めよう」

全員が滝に入ると、激流に打たれながら、彼が言った。

「ガキ共、この滝の上からそうめんが落ちてきたら、面白いと思わないか?」

珍しく彼がニヒルな笑みを浮かべたので、俺たちの顔にも少し笑みがこぼれる。

「まあな」

「だが、その考えは甘い。落ちてくるのは―これだ」

それを合図に、不動さん目がけて巨木が落下してきた。

「むうん!」

彼の頭に直撃したが、割れたのは大木の方だった。恐ろしい石頭だ。

ヘディングなら、たぶん世界を狙える。

「人間、修行をすれば何でもできる。これは初級編だ。さあ、やってみよう」

俺は、いや、他のみんなも、このとき同じことを思っていたのかもしれない。

(あんたは宇宙人だから平気かもしれないけど、こっちは人間だから)

すると、彼はクワッと目を見開き、

「そんな小さいこと、俺が知るか。くだらん常識を捨てろ、これは誰にでもできる」

…どうやら、俺たちはここで死ぬのかもしれない。

96 < 97 > 98