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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*98*
「どうやら、下等人類をカイザーたちは鍛え上げるつもりらしい」
地球をなんでも見通す双眼鏡で眺めている、銀河太陽系8神のひとりがつぶやいた。
「愚かな。どんなに鍛えようと、神は超えられぬ」
わたくしはおずおずと口を開く。
「あの…みなさん」
「なんだ、マールス。何か言いたいことでもあるのか?」
「わたくしも傲慢なのはよくないと思いますが、人類共にもまだ良心はあるんじゃないですか?」
「無い。奴らはゴミだ」
「不良だ」
「害虫だ」
「太陽系の駆除対象だ」
他の神は次々に人類を罵る。
「と、とりあえず話し合いをしましょう。人類の代表と!いきなり喧嘩はよくないと思います」
「地球を奪いに行くぞ」
「あのー…話、聞いてましたか?」
「何の話だ?」
ダメだ。話にならない。でも、双方のために彼らを説得しないと…!
「人類の意見は聞かないのですか?」
「下等極まりない人類の意見など聞く必要はない。我らは神だ。少なくとも我らは、管理下の意見など聞かん。
問答無用で人類を全て殲滅する」
「殲滅!?何をおっしゃっているのかちょっと…」
「お前は我らの意見に反対なのか。カイザーたちと同様離脱するつもりか」
彼らはぐっとわたくしに詰め寄る。そのせいで冷や汗が流れた。
「そうじゃないです!ただ、もう少し平和的な解決方法があるのではないかと…」
「無い。お前はそれぐらいもわからないのか。人類は愚かだ。無知だ。無能だ。話し合いなどまともにできる奴らがいるとでも?下等な人類に?」
「そ、それは…その…」
わたくしが答えられないでいると、彼らは冷たい目で一瞥した後、それぞれの星へと帰って行った。
(どうしよう…このままじゃ、悲惨な争いが始まる…!)
わたくしは自分の無力さに胸が締め付けられる気がした。