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*12*
「はー、はー…」
「やっと終わったかクソ炎」
「んだとてめ、勝負だぁー!」
あー!と叫んでナツは、その場へ倒れる。
力尽きたようだ、ピクリとも動かずただ唸っている。
「ちょっとちょっと、大丈夫なの!?」
ルーシィが心配して、ナツを支えた。
小さくナツが「サンキュ」と呟く。
「魔力は…みなぎってんだよ…でも…力でねぇえ…!!」
「体力でナツがこうなるなんて…ウルティアの魔法以来だわ」
体力馬鹿のナツが倒れるほどの、強力な魔法。
使いこなすには、時間が要るだろう。
「ルーシィ、お客さんよ」
ミラが笑顔でルーシィの肩を叩く。
「はぁい」と気の抜けた声で扉を見ると――
「貴方が、ルーシィさんかしら…?」
ふわりとした金髪、大きく優しい瞳、白い肌。
それは、母に酷似していた。
「マ…マ…?」
ルーシィが、目を見開いたまま歩み寄る。
距離、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1―――――
「…捕まえて頂戴」
「え、」
ふいに後ろから現れた4人の影。
それはルーシィを、あっという間にその場から無くした。
「テメー…何者だコラ!ルーシィを返せぇぇぇ!」
猪突猛進で進んでいくナツを、影…王国の傭兵部隊が止めた。
「昌竜の紫水晶!」
ナツの口に、一つの大きい水晶がはいる。
あまりにも唐突のことで、ナツはそれを噛み砕いてしまった。
それが、いけなかった、
「…!?あっ、うぁあ!!」
「ナツ!どうした、水晶を噛んだだけだろう!?」
苦しむナツを支え、エルザはアーティを睨んだ。
「ただ水晶を入れるわけねぇだろ」
「あの水晶はなんだ」
「紫水晶は、紫…毒の水晶さ」
アーティは嘲笑い、一つの水晶を口からだした。
「これは言うなれば解毒剤、だな」
「それをよこせ!」
エルザが黒羽の鎧に換装し、空を飛ぶ。
「開け、烏座の扉。コルヴス」
だがそれは、キアーヴェの星霊によって封じられる。
星霊コルヴスは鋭い嘴で、エルザの手を狙ってくる。
「くそっ」
「黒羽の鎧…まるで烏だ。なぁ?コルヴス」
コルヴスは見た目は普通だが、やはり星霊。
威力が途轍もない。