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第六章『鬼灯』
起きて、ルーシィ。
なあに、お母さん。
そうやって起きた少女の目の前は。
病気で亡くなった母の遺体が置かれていた。
お母さん!
悲しいね。
だあれ?
いばらひめ。
「っ!?」
腕が、動かない。
縛られている事に気づき、そして今のは夢だと言う事に気づいた。
「茨姫……!?」
「ルーシィ、おはよう」
「っ、貴方は!!!」
ルーシィの頭が急速に回転する。
母のレイラにとても似ている金髪が、静かにゆれた。
「ここはどこ!?」
「私のお屋敷よ。さぁ、茨姫。お友達が、来たわよ…」
きぃ、と木製の扉が開く。
コツコツとハイヒールを鳴らしながら、徐々に姿が見えてきた。
顔は仮面がつけてあり、体中に大量の茨が絡みついている。
「…貴方、まさか」
ルーシィは覚えがあった。
小さい頃、母をなくした頃に一度だけ遊んだ少女。
「…ルーシィ…」
「まさか、あの子?」
「そうよ」
茨姫より先に金髪女性が言う。
「茨姫は、貴方を探してたの」
「…意味が分からないわよ!何で、仲間を巻き込むの?」
「知らないわよっ――――」
ふいに、金髪女性の声が止まる。
いや、止めさせられた。
茨姫が、金髪女性の心臓部に茨の蔦を――
「―――――――――――――!!」
「っは、がはっ……!」
目の前で信じられない光景をみたルーシィは、焦点がぶれている。
「あ、あんたの、仲間、でしょ…?」
「……利用しただけ…仲間じゃないもの」
すると、仮面が少し割れている。
目だけが見えるその状態で、髪の色も変わっていった。
「――あ」
少女の顔は、 ルーシィだった。
記憶が、とれない。
拭えない、頭が痛い。
「くそ……」
壁を勢い良く叩くが、気分は一向によくならない。
また思い出しそうだ。
「この体、どんだけ念こもってんだよ」
「仕方ねぇよ」
ケラケラとカルガが笑い、ローブの男は軽く睨んだ。
「おーおー、怖いねぇ。…『レイガ』」
「うぐ!!」
名前を呼ばれると、記憶がまたにじみ出てくる。
正直いうと、レイガの魂はもうない。
かわりに違う魂が入ってるだけだ。
「てめっ、名前を呼ぶんじゃねぇ!」
「任務の時は、平気だっただろ」
「それが今ぶり返してるんだよ…」
体が自由に動かない。
すると、とてつもなく大きい破壊音が響いた。
「ルーシィィィィィィィィ!!」