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第七章『自動式爆弾兵器』
「……テメェは、誰だ」
「うるせぇ、黙ってろよ」
あきらかに、レイガではない。
それでも、ローブから見える髪の色は間違いなくレイガそのものだった。
「たっく、無機質魔法」
すい、と腕を振るとグレイの横腹付近に魔法陣が現れる。
「魔法陣?――がはっ!」
いきなりの衝撃に耐え切れず、床に転がった。
まだ腹がしびれている、爆発だろうか。
「っうぅ…」
「魔法は、使いやすいな。この体」
「!お前…、レイガじゃねぇのか…?」
「さあ、な。俺がレイガかは、お前次第だよ」
今度はグレイの後頭部に、衝撃がくる。
そのまま床に叩きつけられ、グレイは口から血を吐いた。
「が、ぁ……」
「…しね、しね、死ね!」
そのままローブの男は、グレイに向かって衝撃波を起こす。
「なんだよっ、テメェは!」
「…………」
「俺の記憶にこびりついてやがるっ、このガキはテメェか!」
グレイから、声が聞こえない。
気絶だろうか、それとも―――――
「くたばれぇぇぇ!!!!」
最後に、天井に衝撃波を起こし、天井が崩れる。
瓦礫は全てグレイに当たるように仕向けた。
砂埃で前が見えない、くたばっただろうか。
「え、」
後頭部が掴まれる、ヒヤリとつめたい。
振り向けない。
そのまま、頬を殴られた。
「がはっ!」
そのまま床をすべる。
砂埃が晴れていき、やっと相手を認識できた。
「……ははっんだよ…化け物じゃねぇか…まるでさぁ…」
「レイガ…今までのことは、俺が悪かった…俺は誓ったんだ、犠牲にしないって」
独り言のようにブツブツと呟くその姿は、本当に化け物だ。
そして、やっと顔を上げた。
「離れたい。お前が手紙で言ってたように…お前を忘れてみたい」
「……」
「だから…今、目の前に現れちゃぁ困る」
「つまり、なんだ」
「死ねよ」
何時の間にか、目の前にグレイが現れる。
レイガは瞬時に、グレイ目掛けて衝撃波を起こした。
壁まで一気に吹き飛び、グレイは崩れる。
だが、何事も無かったかのように立ち上がった。
「く…ははは!化け物!忘れたいから殺すだぁ?いいねぇ、やってみろや!」
「…くはっ」
馬鹿笑いするレイガに対し、グレイは小さく声をだして笑う。
魔法の使わない、殴り合い。
二人にはそれで、十分なのだ。
「寄生型活動兵器…!じゃあ、ナツ達の茨姫の話は…」
『茨姫の力だ。本当は、知り合いなんかじゃない』
レイガの魂の話に、ルーシィは驚愕する。
『…茨姫は、俺の魂を喰った』
「え?じゃあ今ここに存在しているのは?」
『残留思念だ、知っているだろう?』
ウェンディのミルキーウェイで、何回か見たことはある。
だが何の魔法もなしに、普通に見れるとは。
『アイツは、俺の体に別の魂を入れ込んだ』
「別の魂…」
『…俺の体にも、仕掛けがある』
「仕掛け?一体どんな―」
『自動式爆弾兵器…』
ミラーリの命令一つで、俺の体は木っ端微塵だ。
…あたりを、巻き込んで。