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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*16*



019「ごめんなさいの屈強方程式」





夢を見ていた。

皆が死んでしまう。

皆が消えてしまう夢を…



黒髪の青年。コノハに似た人物に殺された。


エネはケータイごと壊され。

キドは【目を隠す】がナイフで刺され。

セトは蛇に飲み込まれ。

マリーは突然と通った車に轢かれ。

アヤノは青年の口論で自殺。

カノは裏切りを裏切られ。


そして俺は………………………





『ご主人…?おーい、大丈夫ですかー?』


エネの言葉で現実へ戻る。
シンタローはハッとし、周りを見渡した。


マリーはセトと喋っていて、カノはいない。
キドは警戒に外にいるらしく、貴音は隣で寝ていた。

…………なんか見たことあるんだよな。この人。



『ご主人…キモいですよ。キモいです』

「一応、2回言った理由を聞こうか」

『大切ですから』


だよなぁ。予想通りで嫌になるよ。


さて…俺は何をするかな。
体は痛いし、頭はボーッとするし、寝るか。


「あの…………シンタロー」


呼ばれて目を冷ます。上を見上げるとコノハの姿があった。夢の面影もあり少し焦ってしまった。


「お、おう。コノハ、なんかようか?」

「えっと、団長が…少し来いって」


キドが?なんだろうか。

…………そーいえば、夢でのこいつの死を見なかったな。
関係ないか。


取り合えず外に出て、キドと合流した。






「…………すまん!」


いきなり謝られてもなんでだよ。
そもそも女の子に頭を下げられて動揺しない18歳。童貞にどうしろと?


「な、なんのことだ?」

「カノが迷惑かけた。ほんとにすまない。許してやってくれ、あいつはあー見えて根は優しいやつなんだよ」

「そのことか。別になんもねーぞ?裏切られたって言ってたな…………なら同じことだろ?こっちの仲間だ」


シンタローの言葉に胸を打たれたキドは少し涙を見せて、隠れていった。






その後はカノを許すもなにも、何もなかったように周りは適応し始めていた。


「…………」

『…………』


俺とエネは呆然としていた。
目の前の現実を逃避しようとしていたのだろう。
まさかの「ケンカ」が始まるとは。


いや、一方的な口論だろうか?


「マリー…そろそろ許してほしいっす…………」

「…………嫌!。セトなんて、もう……知らない!」


ありえないだろうに。
セトとマリーがケンカしていた。



原因は、マリーが大切に持っていた、ハンカチをセトが貸してもらったらしく、そして無くした。
これだけのことだ。


『まぁまぁ、セトさんもこーいってるんだし』

「エネちゃんは黙ってて…!」

『ひゃい!』


エネはマリーに負けて、ケータイへと引きこもった。



キドとカノはいない。

コノハは寝てる。貴音は…………入浴。

この気持ちをグッと堪えての差し押さえは効果なしだろう。



「…………もう嫌い!」

バタンッと強い音が耳に入る。
マリーは引きこもってしまった。セトはしょんぼりし、シンタローはため息を1つ。

セトまでが何処かへ行ってしまった。




「シンタロー?」

「…………起こしたかコノハ。すまねぇな」

「二人…どうなるの?」

「聞いてたのか…一緒に来てくれるか?」

「何処へ?」

「仲直りの落とし物探しだよ」



そういって頷いたコノハを連れて、ドアノブを回した。



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