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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*17*


020「フェイントループ」





セトから聞いた話では近くの森で無くしたらしい。

マリーに借りたハンカチ。花柄が目印だと言っていたがこの膨大な広さの森では目印もくそもない。


コノハは目を上に向け、頭に乗った小鳥を見ている。


「来たところで…どーすっかな…」

「仲直り…できるの?」

「あいつら次第だな。俺らは踏み台ってとこだろ」



そういって周りの茂みを探索するシンタロー。

コノハも見習い、小鳥を羽ばたかせ、探索を始めた。


暑い…………この炎天下の中の作業は地獄だ。
それに暑さで草の香りがおかしくなるような。



ザーザーと蠢く森。30分くらいしたところで…



「…………見つからねぇ。ほんとにここなのか!?」


シンタローは膝間付いた。
コノハは依然ケロッとしている。こいつの身体能力はどうなってんだ…と疑うよしもなく、1つの案を思い付いた。



そう…………能力を使えばいい。
【目を焼きつける】でループすればなんとかなるかも。



そう思い、シンタローは神経を研ぎ澄まし、赤い目を発動させた。



「シンタロー。大丈夫?」

「少し行ってくる」


そう言うと目をバッと開き、目をつぶった。






……………………………………………………!





ループしても暑いな。


「あの森…とかわんねぇ。でもコノハがいないな。ってことは成功か」


そう思い、芝生をかき分けセトを探す。


無くしたのがもしこの時間ならいるはずだ。




しかし発見したのは…黒髪の長い少女だった。

何故だがビリビリ威圧感を感じる。

そんなシンタローに少女は喋りだした。


「人間…………珍しいな。こんなところに来るとは」

「お、お前は…誰なんだ…?」

「人間に名乗る名などない。消えろ」


そう言うわけにはいかないんだが。
と思っていると少女は急に驚いた。


「お主。能力を持っているのか…?!」



えっ…あ、いつのまにか目を赤くしていた。
シンタローは慌てて隠すが、少女の目も赤くなり、目の前に巨大な蛇が現れた。



「う、うぁあ…」

「なぜ持っている…?」

「し、知らねぇよ。てか、今何年だ…?戻りすぎたのか…?」



その言葉に蛇は驚き、「なるほど、そういうことか」と呟きながら元の少女に戻る。


「お主は【焼きつけた】のじゃな」

「…………なにいってるのかわかんねぇけど、まぁ敵じゃないってことは言える」

「面白いの、人間。訳を聞かせてもらえぬか…?」




シンタローは躊躇なくマリーとセトのことを話した。


森が埋めく。

そして少女は「アザミ」と名乗り笑いだした。


「…………面白いの。げーむとやらに閉じ込められたのか。そして抜け出したい。と」

「正確にはクリアだがな」

「ふむ…我が子孫もいることだし…力を貸そう」




そう言うとシンタローはまたしても巨大な蛇に飲み込まれて意識を失うこととなった。


アザミは不適に笑い、シンタローは右目を無くした。



【左に…焼きつける。右に…『巡らせる』】

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