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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*2*




02「真実の疑惑」







「な、なんで……何でなの!?」


私は叫んでいた。全ての町が見渡せる丘の向こう。

私は叫んでいた。白衣の科学者を前に…立ち竦んで。


こんなはずじゃなかった。なんでこーなったのだろう?
神様なんて残酷な存在だ。信じたものが悪い。


「素晴らしいよ…君は」

「何が…素晴らしいだ…?」

怒っていた。それが私の感情だろう。
何もないこの丘で町を壊されながら…


「なんで……なんで……こんなことを」

「フフッ…いいじゃないか?」

「どこがいいんだ!こんなこと…………」

「また繰り返されるのだからね…」


え、繰り…………返される?
どういうことだろう…何が?どこで?
疑問だけが私を横切る。頭に浮かぶのは黒に染まった風景だけだ。


「君も………壊そうか」

へ……………………?

【ドンッ】


動向が狂う。何もおもうことが出来なくなる。
今までの記憶も…これからも…………
痛みさえも感じなかった。
亀裂の入った鏡が砕けるようにバラバラな未来が見えたような気がし、意識が遠のく。


私自身にこう言った。



「サヨナラ」











狂うほどに走っていた。俺は自分の体力を考えながらスピード調整!と思っていたが…何故か体が重い。まるで数年間運動しなかったような感じだ。


「なぁ、カノ、さっきのなんだ?」

「うん…?あぁ、ごめんね、さっきのは僕の能力、【目を欺く】能力で、まぁ、化けた?かな」

「意味わからん…まぁお前、信じていいんだよな?」

「そだね、出来れば信じてほしいかな…?」


人を信じたのはいつ以来だろうか。

あれ?確か…いでっ!?頭が…いてぇ。




「ねぇあの人達…………!」


カノが丘の向こうを指す。気づけば丘まで来ていた。
体はボロボロ…心もボロボロ…かな?
カノが指したのは…白衣の人間に…


「人が…死んでる?」

呟いたときカノがシンタローを押し倒した。
一瞬トキメキシーンか!?とバカなことを思うが…


「しっ!…………これは…ヤバイね」

「あぁ…お前の体制もヤバイな」

「おっと!失礼…」


能天気な会話をしたあと二人は体制を立て直して、白衣の人達を見詰める。


「さて、どうしようか?シンタロー君」

「なんで俺に振るんだよ」

いや、こいつに対策方法は…無理か。

あの倒れてる…少女…

「エネ…?」

「フフッ…やっぱりおもしろいなぁ君は…!」



…………誰だ!


気づかれた…。これは………終わりか?

いや、もしかしたら…


「僕に任せてよ…クスッ」

カノはニヤリと笑いながら赤い目を光らせた。


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