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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*9*


09「デッドフラグ『死の宣告』」




妙な一日だった。


「地」と「30」という意味のわからない単語に。

脳裏に並べられた…人物の名前。

意味はあるのだろうか…?


そんなことを考えながらシンタローはソファに横たわっていた。


「並べられた…?」

自分の思考に疑問を持つ。
その時、ドアの方からバタンッと音がした。


「し、シンタロー…今すぐ来てくれ!」

開いたのは血相を変えたキドだった。





炎天下の中、言われた通り外に出てみるとあり得ない光景が目に入った。


「こ、これは…………!」


目に写るのは…廃墟と化した建物たち…出はなく、まるでリセットされたような都会だった。

壊れた物などは存在していない。

まるで、ゲームを初期化した、ニューゲームのようだ。




「お、来たね、シンタロー君、これどう思う?」

「どうって…あり得ないだろ」

「ゲームのなかって、なんでもありっすね」



皆が外へ出ていたようだ。
コノハは周りとは違い興味を抱いた目をしている。

貴音はいつのまにか俺のケータイを持ってエネと話をしていた。

「とにかく探索が必要だな」

「そうだね、新しい発見とかあるかもねぇ」

そう皆が張り切って背伸びしている時、ある「宣告」が耳に入る。




「みぃつけたよ…メカクシ団」


不気味にも背筋が凍るような声で気配を感じさせずに目の前に立っていた。


黒と赤の混じりあった髪の毛。
黒いボロボロのジャージに黒いタンクトップ。両腕に黒いリストバンドをしたコノハくらいの青年だった。


危険を感じたのか周りのキド達は、キドの能力【目を隠す】でシンタロー以外を薄くする。


話しかけられたのは俺…………か。

慎重に…行くしかない。


「お前も…この世界にやって来たのか?」


シンタローの問いかけに青年はクスクスと笑いだした。


「違うよ…僕はZERO。この世界の住民だよ」


この世界の住民…………?ゲームのNPCなのか…?
リセットされたから…こいつらも初期化したのか…?


考えていると突然…体がグラッと揺れだし、その場に倒れる。倒れた瞬間、銃声が響き、弾丸がスローに見える。打たれたのは先程いたシンタローの位置だ。


「大丈夫かい?シンタロー君」

「カノ…か、すまない、助かった」


即様起き上がり、ZEROと名乗った青年と向かい合う。
危機一髪だった。死ぬところだったな。


これで、確信を持てた。こいつはヤバイ。


「僕の能力じゃ、勝てる気がしないね」

「どうする!?このままじゃ死ぬ…………」

シンタローの声を下記消す銃声が鳴り響いた。
銃弾は運よく、シンタローの頬をかすったようだ。



ヤバイ…殺気どころじゃねぇ。こいつは殺す。
殺される。

そう思うと足がすくみ始めた。もう一歩も動けない。



「終りだね、バイバイ、主人公さん」

銃をシンタローに向けられる。震えていたシンタローは隣のカノを見ると絶句した。笑っている。

これは欺いているのか…いや違う。なにかある。



青年は目を大きく開くと引き金を…


引かなかった。いや、引けなかった。



「間に合ったっすね、今のうちっす」

セトだけじゃない。隣に目を赤くした白いモコモコとした少女が現れていた。


「シンタロー!逃げるぞ…!」

『ご主人、早く!』


一心不乱に振り返り、死を後ろにした道を走り出した。






「シンタロー…………よかった。死ななくて、心配させないでよ。それにしても…これは、私も行かなきゃかなぁ」


鏡の向こうで少女は目を開いた。

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