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作者: lulu (総ページ数: 38ページ)
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第十二話 文化祭一日目
今日から、文化祭が始まる。
といっても、昨日は前夜祭だったからちゃんと言えば昨日からってことになるけど。
今日も杏奈ちゃんと一緒…、ではなく僕一人だった。
会長曰く、男女ペアで回るのは前夜祭だけらしい。
僕は、つい最近まで入っていた美術部の展示会場へ行った。
「わー、皆すごいなぁ」
思わず、感嘆の声をあげてしまう。
僕も、入っていた時はデッサンとかクロッキー、油絵とか描いていたけど。
…会長に強引に生徒会に入れられた時は、先生に言いつけて抜け出そうと思っていた。
だけど、いまは生徒会に入って良かったなぁと、ほんの…ほんの少しだけ思っている。
会長はちょっと変りものだけど。須川先輩もまぁ、優しいし。
奈美さんも見た目は少し怖いけど、とても、優しい。
杏奈ちゃんは可愛いし、とても優しい。
本当にいまは入って良かったと思っている。
「滝川君!」
誰かに声を掛けられた。
「あ、杏奈ちゃん」
「あの…、先輩の…工藤先輩が呼んでたよ…」
「あ、うん分かった」
……あれ、杏奈ちゃん泣いたのかな。
目が少し赤い。
ーーーーーーーーーーー・−−−−−−−−−−−−
先輩の用はそこまでたいしたことなかった。
「おぉ!滝川君ではないか!」
「会長…、何してんですか。こんなとこで。食べたがっていたホットドッグはいいんですか?」
「あぁ、さっき食べてきたとこなのだが…、少し話したいことがあるんだ、いいかな?」
「あ、はい」
そして、僕たちは二人で生徒会室に入って行った。
「話というのは、杏奈君のことなのだが…」
「…、杏奈ちゃんがどうかしたんですか」
「最近杏奈君とメールで相談を受けているのだ、その相談の内容が…、その…君のことなんだ」
「え?僕?」
僕のことなんかで何の相談があるんだ?
「その、客観的に観てなんだが…、杏奈君は、き、君のことが、…好きみたいだ…」
「は、はぇ?」
ギネス達成。
多分この変な声、僕が出した声、世界で出したことある人いないぞ、多分。
普通に考えて、杏奈ちゃんが僕のこと好き?
おいおい。ないだろそれ、って僕誰と話してんだ。
「それ…本当ですか」
「私が見て、だ」
やっぱりだ。
やっぱ、僕のことが好きだったんだ。