完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

ユキノオト
作者: 桜  (総ページ数: 28ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~

*2*

 第二章「浅倉総司の寒天版は?」

 壱 始まりの言葉

 雪音が、その知らせを聞いて、夜逃げ(?)をしだしたのは、四月の二十九日だった。
 ----私何か悪いことしたっけ!!?? てか、殺す気でって・・・・、物騒だ!!物騒すぎる! なに考えてんだぁ!!??
『肩ぐらいの長さの漆黒の髪。顔は美しく整っており、切れ長の眼の首を発見したらすぐに役人に報告。』
 ----これはあの人のことだ。あの人----総司さんのことだ。ずっと視てきたからわかるよ。でもなんで・・・・
 満月が、雪音の走る山道を照らしてくれる。追っ手は来ない。山の獣たちも寝静まっている。とても静かな夜だった。

『雪音という名の少女を見つけたら引きずってでも役人に渡せ。たとえ殴りかかられても殺す気でかかってよい。特徴は、漆黒の小太刀を持ち、おろすと長いつややかな黒髪を櫛でとめている。男女どちらの格好をしても似合う。』

 ----なんで私も探されなきゃやなんないの!!??っていうか、男女どちらの格好しても似合うって失礼じゃないの!?女人に対して!私もう二十だよ!!??
 突っ込むべきはそこか、と思うが、今はこうしている場合じゃない。いち早く逃げなければ。何をされるかわからない。
 その確信は、今から十年前にさかのぼり、そして、ついこの前となる。

 初めて総司さんと出逢ったのは、十のころ。
『アサクラソウジの寒天版ってなーんだ?』
 そんな言葉から始まった。

1 < 2 > 3