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我落多少年とカタストロフ【完結】
作者: 月森和葉 ◆Moon/Z905s (総ページ数: 42ページ)
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作者: 月森和葉 ◆Moon/Z905s (総ページ数: 42ページ)
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「ただいま戻りました」
三波が家に戻ると、幸いにも待ち構えていたのは双子の兄だった。
「お帰り」
「北都」
少し驚いて顔を上げたが、すぐに畏まって礼を言った。
「何、兄さんを騙す事なぞ造作も無い。友達と出掛けたと言ったら納得したよ」
友達と出掛けた、というのはあながち間違いでもない。
霧は学校での知人であり先輩で、それを友達という枠で括ったとしてもなんら問題も無い。
それに、三波が直に言ったのなら兎も角、北都が言ったのなら方英は三波を疑うことすら出来なかったはずだ。
思わず笑みを零すと、霧から贈り物を貰ったのを思い出して北都に差し出した。
「これ、霧さんから」
「霧さん?」
三波は赤面し、慌てて口を覆ったが北都は微笑んだだけだった。
「別に自分は君達の仲を詮索したりはしないよ。方栄兄さんでもあるまいし」
彼は笑って霧からの袋を受け取ると、何も無かったかのように自分の部屋に戻っていった。
三波は少し兄の反応に少しばかり放心していたが、やがて自分の部屋に戻った。
そして机の上に今日霧が贈ってくれたヘアークリップと時計を並べる。
(明日、お会い出来たら改めてお礼をしよう……)
机の上で腕を組み、そこに顎を乗せてその二つの品を眺めていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
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