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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香  (総ページ数: 40ページ)
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10~ 20~ 30~

*2*

「でも」言いかけた僕の言葉を、夏島かをりが唇で塞いだ。


放課後の部室は夕焼けに照らされ、夏島かをりが
大人っぽく見えた。 「キスなんかしてごめんね」
夏島かをりは遠慮がちに微笑んだ。
「ねぇ、あたしのことかをりって呼んでくれない?」
僕は筆を動かす手を止めた。「え?」
夏島かをりは髪を結び直すと、小さく笑った。
「だって、名字呼びとか寂しいじゃん」これは友達に
聞いた話だが、夏島かをりは今までに10人程の
男を振ったらしい。そんな小悪魔のような女の子が
本気で僕を好きなはずがない。「あぁ、うん」
だが、嘘をついているようには見えない。
ただ純粋に恋をしているように見える。
「ふふ。あ、ねぇ」夏島かをりーーーかをりが、
まるで悪女のような笑みを浮かべた。
「2組の川上さんっているでしょ?彼女、水沢くんの
こと好きなんだって」

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