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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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*23*
かをりは缶のミルクティーを喉に流すと、
ガードレールから足をぶらつかせた。
「迷惑かけてごめんね」かをりはいつかのように
首を手で触った。どうやらそれは気まずいとき時の
癖のようだ。「そんなことないよ。それより、
大丈夫だった?」僕は珈琲に口をつけた。
痺れるような苦味が口いっぱいに広がり、
心地好かった。「うん」かをりはにこりとして
頷くと、再びミルクティーに口をつけた。
脳裏に部長の顔と川上凛の顔が蘇った。かをりは
ふたりのことを知っているのだろうか。
気になったが、訊くのはやめておいた。きっと
かをりは顔をしかめるからだ。
「あたし、やっぱり水沢くんが好き」かをりは
眉を不安そうに下げながら言った。犬の散歩を
していた中年女性がこちらを見たが、かをりは
気にしようとしなかった。
今日の珈琲は、いつもより少しだけ苦かった。
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