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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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*22*
再びあの絵画展に足を運んだ。あの公園の絵を
見ようと思ったのだが、その公園の絵は
誰かが買い取ったのだと言うのだ、本来なら
絵画展の絵は販売しないのだが、その客が
念を押したそうだ。僕は帰ることにした。あの
公園の絵が見たくて来たといっても過言ではない。
帰りに自販機でアイスの珈琲を買うと、かをりを
見つけた。自販機は歩道にあるのだが、かをりは
反対側の車道にいた。黒いバンに乗っている男性に
声をかけられているようだった。距離が近くて
すぐに分かったが、どうやらナンパのようだった。
男性は23歳くらいで、グレーのスーツを着ていた。
かをりは困ったように苦笑いをしていて、
ちらちらと下を向いていた。僕は珈琲を鞄に
入れて、かをりの名を呼んだ。かをりはすぐに
気付いたようで、手を振ってきた。僕は
車道ギリギリまで行き、かをりを歩道まで
連れていった。男性が顔をしかめ暴言を吐いたが、
構わずかをりの手を掴んだ。歩道の真ん中に
行くと、かをりは小さく「ありがとう」と笑った。
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